タイでのオンラインショッピング 2

(前回からの続き)

日経ビジネスより抜粋して添付

三木谷社長と.jpgこの1年を振り返るとタラッドの年間流通総額は約2倍に増えました。ただ、ご存じの通り2011年はタイは洪水被害に見舞われました。洪水が起きるまでは昨年比で毎月8~9倍で伸びていましたから、洪水による影響は正直大きかった。流通総額全体も3~4倍まで拡大できたのにという思いはあります。

とにかくタイのEC市場はまだまだこれからです。通信インフラの整備が遅く、タイではADSLが主流。携帯電話も3G(第三世代携帯電話)の普及がようやく始まったところです。タラッドでは2011年6月からモバイル向けサイトを開始していますが、インフラ自体も遅くウェブサイトへの訪問数は微々たるものです。

  一方で、リアルの小売市場は急拡大しています。昨年1年間振り返っても巨大ショッピングモールの建設ラッシュでした。洪水による消費の冷え込みはありつつも、タイはGDP(国内総生産)でプラス成長が予測されているほか、中間所得者層が急増しており、個人消費全体を引き上げています。リアルでは手に入れられない商品をECで買い求めるという風潮が徐々に広がりつつあります。

現在、タラッドの会員数は約200万人、出店企業数は2000店舗に上ります。中小企業が中心です。タイで最も売れているのは女性向けファッション、次がコスメやジュエリー。そしてデジタル家電等が続きます。

 楽天がタイに進出する前まで、ECの決済手段は銀行振り込みが当たり前。我々の意識からするとオンラインビジネスで銀行振り込みというのはあり得ません。その常識を変えていくのに苦労しましたね。現在では決済手段としてクレジットカードが4割に至っています。

オンラインへの道.jpgいわゆるノウハウの「ヨコテン(横展開)」については我々より先に出た台湾楽天市場から情報をシェアしてもらっています。タラッドでは2011年9月から楽天スーパーポイントの提供を始めていますが、タイでは同様のオンラインポイントプログラムがありませんでした。現金値引きやキャッシュバック、1個買うともう一つおまけが付くといった商慣習だったんです。

タイ人はポイントといわれてもピンとこない。だからポイントを集める楽しさ、ポイントによるディスカウントのメリットといった周知活動をする必要がありました。このあたりのノウハウは台湾から学ぶことが多かったですね。

タラッドでも少しずつ店舗の成功事例が出てきています。例えば、地方で細々と業務用ハンガーを卸していた小さな会社があるのですが、この会社はタラッドで試行錯誤しながら販売額を増やし、ほぼ現在ではオンライン専業会社になっています。マレーシアとの国境近くでカシオウォッチを販売していたお店もタラッドでナンバーワンの売り上げをあげるなど、実績を積み上げています。

 ご存じの方も多いかもしれませんが、タイではデパートや百貨店の中に小さな店舗がところ狭しと並んでいます。こうした店舗のほとんどは2010年に起きた反政府デモによるバンコク中心部占拠によって売り上げがゼロになりました。こうした店の中にはリアル店舗を閉じてオンライン専業にシフトしたところも数多くあります。

2011年の洪水時には仕入れが止まり、物流が止まりました。売りたくても売れない、届けたくても届けられない。これが2カ月半くらい続きましたから、2011年10月~12月の流通総額は右肩下がりで落ちてしまいました。

日本とは異なり、タイの物流システムが洗練されていないんです。物流はECにとってキモです。日本の物流会社に早くタイに進出してほしいと心底思いましたね。

安全性が大事.jpgこの記事を読むと、タイではまだまだオンラインショッピングの土台が出来上がっていないのがわかります。それは、インフラ設備のみならず、躊躇無くネット決済ができる安全面も言えるのではないでしょうか。

オンラインショッピングが活発になったら、タイ中の商人が競い合って面白くなりそうですけどね。どれだけお客さんを取り込み、根付かせるか、というのがポイントのような気がします。