タイ初の女性首相誕生 2

黒い服で.jpg先月27日、プミポン国王の従姉妹にあたるペチャラット王女がお亡くなりになり、タイ王室は100日間喪に服しています。これを受けて、テレビのニュースキャスターの衣装も黒一色となっています。

タイでは黒は喪を表す色とされています。一方、日本では結婚式でも着用OKな正装の色ですよね。今回の一時帰国中、少し暑さが和らいでいたとはいえ、夏に熱を吸収する黒を着るのは見た目も着心地もよくないだろうとは思いましたけど。

話をタイに戻して、黒い服に身を包んだキャスターが伝えるトップニュースは、タイ初の女性首相関連。内外の目はどのように見ているのでしょうか。

 

毎日新聞より

タイ総選挙(7月)で示されたインラック氏支持の圧倒的な民意を前に、反タクシンの前与党「民主党」は5日の国会での首相選出で、独自の首相候補擁立を見送り棄権に回った。反タクシン派には依然タクシン元首相への反発は強いものの、当面は状況を見守るしかない情勢だ。

アピシット氏は話し合いを強調.jpg民主党は首相選出に独自候補を立てなかった理由について「国民和解に向けた建設的な判断」としている。アピシット前首相は4日の国民向けお別れ演説で「政治的対立は議会で解消すべきだ」と語り、新政権誕生を受け入れて野党として国会での論戦に臨む姿勢を明確にした。

 タクシン派による一連の反政府抗議行動を「王制への脅威」ととらえ強硬姿勢で臨んだ軍にも、民意に反してタクシン派政権に抵抗すれば国民の信頼を失いかねないとの危機感がある。選挙期間中「国民は正しい選択をすべきだ」と露骨な選挙介入ともとれる発言をした陸軍トップのプラユット司令官は、その後態度を一変させ不介入を強調。4日には「国防相人事は政府が決めるものだが、人選についてインラック氏と会談できれば光栄だ」とへりくだり、新政権に従う姿勢を示した。

 下院で安定多数を確保したインラック政権は、富裕層と低所得層の格差解消への第一歩となる最低賃金の大幅引き上げなど、タクシン氏譲りの低所得層優遇政策に腰を据えて取り組む見込みだ。一方で汚職罪で有罪判決を受け収監を逃れるために海外滞在中のタクシン氏の帰国、復権につながる「恩赦」の実施については、世論の行方を見定めながら慎重に判断するとみられる。

 タクシン派政権復活の原動力となった北部や東北部の農民層には、タクシン氏の帰国・復権への期待が強い。一方で、反タクシン派は「タクシン氏の帰国・復権だけは許せない」というのが本音だ。根本的な両派対立の構図は解消されておらず、新首相が恩赦実施へ動けば、対立は再燃しタイは再び緊迫した状況を迎える。

アピシット氏は上手に引き際を収めましたね。反対勢力に政権を握られてしまったわけですから、苦々しい思いもあるでしょうが、今後も「和解」を念頭に議会で議論していくことをしっかり宣言しました。

選挙によって選ばれたリーダーを見守る、これがまずは大事ではないでしょうか。見えない権力でもうこれ以上ぐちゃぐちゃにしないでほしい、それが国民の願いだと思います。

新首相となるインラック氏には課題がたくさんあります。反タクシン派の反感を買わず、国全体が平和に向けて歩んでいけるよう引っ張っていけるでしょうか。

産経新聞より

タクシン元首相の妹で、タイ貢献党のインラック氏が、5日のタイ下院本会議で首相に選出され、初の女性首相が誕生した。組閣作業を経て計6党による連立政権が来週、発足する見通し。インラック氏の政治手腕は未知数で、「タクシン院政」という実像を覆い隠しながら、内政、外交の課題に取り組むことになる。

 下院は賛成296、反対3、野党・民主党などの棄権197で、インラック氏を選出した。この後、同氏は記者団に「職務が始まり興奮している。(今後の)仕事が、国民の期待を満たしたか否かの判断は、国民が下すだろう」と述べた。

 タイ経済を概観すると、今年上半期の輸出額は前年同期比23・6%増の1149・8億ドル、輸入額は同28・5%増の約1115億ドルと好調だ。海外からの投資は回復基調にあり、失業率も下降を続け、6月は0・5%だった。

 だが、7月の消費者物価指数は前年同期比4・08%増の112・74と、タイでもインフレが大きな懸念材料となっている。そうした中で、最低賃金(日額)を300バーツ(約787円)に引き上げるというインラック氏の公約は「インフレ圧力を強め、失業率の上昇要因になりかねない」(アナリスト)と、議論がある。

 外交では、カンボジアとの国境紛争問題が焦点だ。タクシン氏はかつて、カンボジア政府の経済顧問だった経緯があり、同国のフン・セン首相はタクシン派の政権返り咲きを歓迎している。このため事態が沈静化する可能性もあるが、インラック氏が柔軟姿勢を見せれば、反タクシン派の反発に直面してしまう。

 国境紛争問題で損なわれた、東南アジア諸国連合(ASEAN)内における「タイの信頼、役割を回復することも必要になる」(東南アジア研究所のパビン・チャチャワンポンパン特別研究員)といえよう。

国民和解に向けて.jpg一方、タクシン、反タクシン両派の「国民和解」は、「成功しないだろう」(パビン氏)との見方が支配的だ。反タクシン派は、政治活動を禁止され海外に逃亡中のタクシン氏の帰国、復権問題とも絡め、同氏が総選挙に関与したとして、裁判による貢献党の解党などを画策している。

 組閣では国防相など、2006年のクーデターでタクシン政権を葬った軍の関連ポストをめぐる軍側との調整と人選が、関門となる。

国民の支持を得ながら、内外の問題解決に取り組める、そんな政治環境をまずは作ることが大事だと思います。