兄弟外交

Welcome to Cambodia.jpgアピシット氏率いる民主党による前政権時代に悪化した、タイとカンボジアの関係。タイ貢献党が政権を奪取し、タクシン元首相の末妹インラック氏が首相に就任してからは、ものすごい勢いで関係が改善されています。

タクシン元首相とカンボジアのフンセン首相は、もともと個人的に親密だったようで、現在外交としてインラック首相がカンボジアを訪れている真っ最中に、お兄さんも同じくカンボジア入り。明らかに、公式と非公式をミックスした兄弟外交と言えましょう。

まさかの同時期カンボジア訪問に関しては、大きなニュースとなり、このブログでも2回に渡ってお伝えしました。

http://www.thaiworker.net/cat592/takshin-visit-cambodia-1.html

http://www.thaiworker.net/cat592/taksin-visit-cambodia-2.html

ではまず、妹インラック首相の動きから見てみましょう。

バンコク週報WEB版より

インラック&フンセン.jpgカンボジアを訪問したインラック首相に対し、同国のフン・セン首相は9月15日、スパイ罪で服役中のタイ人2人の早期釈放に向け方策を探ると約束した。

 反タクシン組織「市民民主連合(PAD)」傘下の市民団体「タイ愛国者ネットワーク」のコーディネーターの男性と女性秘書の2人はスパイ容疑でも起訴され、それぞれ禁固8年と6年の有罪が確定している。

 フン・セン首相は、刑期短縮を可能にすべく関係当局に検討させる意向を示したという。

 ただ、その数時間前にカンボジア外務省は、「刑期の3分の2まで刑に服して初めて仮釈放が可能」との見解を示しており、これを覆すようなフン・セン首相の発言は驚きをもって受け止められた。

 また、今回の首脳会談では、タイとカンボジアがともに領有権を主張している、タイ湾の大陸棚でのガス・石油共同開発も取り上げられ、その実現に向けて2国間交渉を再開することが合意された。
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どうですか、これ。国民やメディアを驚かせるような、実に親タイ的なフンセン首相の発言。見方によっては、現在服役中のタイ人2人はインラック首相にとってもフンセン首相にとっても敵に当たる、そんな2人の釈放を約束させることで、対外的な好評価を狙っているのではないでしょうか。民主党側も、この状況には感謝せざるを得ないでしょうが、なんともしっくりこないのも事実でしょう。

ではお兄さんの元首相タクシン氏の動きはどうでしょう。

NHKニュースより

タクシン&フンセン.jpgタイの新政権に強い影響力を持つタクシン元首相が、国境紛争問題で緊迫した関係が続いているカンボジアを訪れてフン・セン首相と会談を行いましたが、国内で実刑判決を受けているタクシン氏のこうした活動に対し、タイ国内では反タクシン派の反発も懸念されます。

タイのタクシン元首相は、17日、およそ2年ぶりにカンボジアを公式訪問し、フン・セン首相と会談しました。会談の中身は明らかにされませんでしたが、

▽国境付近の一部の地域の帰属を巡り紛争が続いている問題や、

▽両国の間にまたがる油田開発

などについて話し合ったものとみられます。タクシン氏は、妹のインラック首相が率いる新政権に強い影響力を持つ一方で、おととしカンボジア政府の経済顧問を務めるなど、フン・セン首相とも良好な関係を築いており、両国の関係修復に一役買うことが期待されます。その一方で、タクシン氏は汚職の罪で実刑判決を受けて事実上の亡命生活を送っており、タクシン氏のこうした政治的な活動に対し、タイ国内では、反タクシン派の反発も懸念されます。

タクシン氏は言うなれば非公式な外交ですが、どう考えても大きな力を発揮したとしか見えません。妹のオフィシャル外交に一役買い、現政権が掲げる課題の一つ「カンボジアとの和解」をいとも簡単に実現してくれたようです。鶴の一声ならぬタクシンの一声、すごいなあ。