東日本大震災の約2週間後、こんなニュースがありました。
バンコク週報WEB版より
『東日本大震災での被災者支援の一環として、日本人が査証なしでタイに滞在できる期間を、現在の30日から引き上げるよう、泰日旅行業協会(TJTA)がタイ政府に要請している。
アネークTJTA会長は、「大津波と大地震に加え、原発事故による放射線漏れで日本を脱出したがっている被災者も多いはず。タイにノービザで30日以上滞在できるようになれば、そうした人たちの支援になると思う」とし、政府の決断待ちであることを明らかにした。』
その後4月のある日に乗ったタクシーの運転手は、どうもタクシン支持派、いわゆる赤シャツの人だったようで、会話の中で私が日本人だとわかると、まず地震へのお悔やみの言葉をもらい、その後現在タクシンが一時避難という意味も含めて、日本人がタイに長くビザ無しでいられるように提案をしているという話をしてきました。
私はタイに住んでいる一外国人ですし、タクシン派でも反タクシン派でもないというか、どっちもよくわからないのが事実ではありますが、ひとつだけこの一連の政治問題で思うのは、タクシンが自分の国に帰れなくなって気の毒だなあ、ということ。生まれ育った国でビジネスマンとして成功、後に首相にまでなったのに、ある日アメリカに外交に行ってる間に自国でクーデターが起こり、それ以来タイに帰れなくなってしまった、というのはなんだか可愛そうな気がしないでもありません。
タクシンが何をしたのか、どんな功績を残し、どんな恨みを買ったのかは知りませんが、自分の生まれ故郷に足を踏み入れることができないのはつらいことではないかと。実際は、追放されているのか、帰国後即逮捕されるのが確実だから逃げているのかは知りませんが、でもそんな状況のタクシンが日本人へのビザ優遇の話を出しているという話を、タクシーの運転手に力説されたわけです。
ただ、現政権も同じ事を考えていたようで、近く日本人に対するビザ優遇措置が取られるようです。
バンコク週報WEB版より
『アピシット首相は日本人のビザなし滞在期間を5月1日から10月31日の間、これまでの30日から90日に引き上げると発表したが、その実施をめぐる情報が交錯している。
同案を観光スポーツ省に提案したタイ旅行業協会(ATTA)幹部によれば、政府は大筋で合意したが、まだスワンナプーム国際空港のイミグレーションは文書での指示を受けておらず、5月1日以降も当面、30日のビザなし滞在しか認められないという。
また、タイ国政府観光庁(TAT)担当者も、「ビザなし滞在期間の変更は、外務省と内務省が公式に発表する必要があるが、この発表がいつあるかはまだはっきりしない。また、特例期間が6カ月間となるかどうかも公式発表を待つ必要がある」と話す。
一方、日本人旅行者は空路で到着した場合に30日、陸路の場合は15日のビザなし滞在が認めらているが、今回の特別措置が発効した場合には、双方とも90日間の滞在が許可される見通しだ。 』
首相が決定したというのに、現場が混乱しているというところが不安ではありますが、これまで飛行機でタイに入った場合30日までしかいられなかったのが、3倍に伸びるということです。
しかし一方では、今回の措置に対して困ったことになりそうなところもあるようで。
Travelrer's Supportasiaより一部抜粋
『バンコクのビザ取りツアー会社には深刻な事態となります。正規観光ビザの在留許可日数(当初60日)を超える日数のビザなし渡航が認められる場合、在外公館で発行される正規観光ビザはその意味を失うため発給されません。
ビエンチャンやプノンペンで正規観光ビザの取得を希望する外国人の中でも、日本国籍者は貴重な収益源となっていました。これが期間限定とはいえ失われるため、関係者の間では「従来からもうひとつの柱だったフィリピン国籍者にますます傾倒しなければいけなくなる」とも囁かれています。』
以前タイにいた私の日本人の友人は、30日の観光ビザしかなく、期限が近づくと日帰りでバスに乗って国境近くの隣国に行ってタイに入りなおす、というのを数回繰り返していました。このような状況の人は結構いるらしく、それに伴いビザ取りツアー会社というのも存在するわけですが、今回日本人へのビザが一度で90日も出るとなると、業者側には痛手なのだということです。
いずれにしても、正式施行されるまでニュースを見守っていきたいと思います。