タクシン来日中 1

タイ国内でも物議をかもし、在タイ日本大使館前で抗議デモまで起きた「タクシン元首相の訪日」。昨日22日に、タクシン氏は特例で日本に入国しました。

タクシン入国の様子.jpg毎日新聞より

タイのタクシン元首相が22日午後、自家用機で来日した。28日まで滞在し、与野党議員との会談や記者会見を行うほか、東日本大震災の被災地を訪問する予定。

 汚職事件による収監を逃れて海外滞在中のタクシン氏だが、実妹のインラック新首相が選出され、9日に2年8カ月ぶりのタクシン派政権が発足した。訪日は自身の帰国や復権を視野に、存在感をアピールする狙いがあるとみられる。

 日本の入管難民法では、タイ最高裁で禁錮2年の実刑判決を受けているタクシン氏の入国は原則禁止だが、政府は特例で認めた。タクシン氏を巡るタイ国内の対立は解消されておらず、18日にはバンコクの日本大使館前で日本の対応に抗議する反タクシン派のデモがあった。

2008年以来3年ぶりの日本訪問。名目はあくまでも「東日本大震災被災地への訪問」ですが、それだけではないという見方が圧倒的です。

Wallstreet Journalより

タイのタクシン元首相は22日、自見庄三郎金融相への表敬訪問を皮切りに、鳴り物入りの日本外遊をスタートさせた。自見氏とは、東日本大震災後の経済的余波やタイと日本との通商関係について協議を行った。タクシン氏の訪日は多くの注目を集めているが、タイの政治も既にその一部に組み込まれている可能性がある。

タクシンと自見金融相.jpg自見氏は、与党・民主党と連立を組む国民新党の副代表だ。妹のインラック氏(44)が7月にタイ総選挙で勝利し、先日首相に就任したことをきっかけに国際舞台に返り咲くことをもくろむタクシン氏にとっては、新しい有益な協力者だ。朝日新聞によるとタクシン氏は今後数日中に民主党議員や野党・自民党議員とも会談を予定している。

タクシン氏の23日のスケジュールは華やかな予定でいっぱいだ。午前10時に帝国ホテルで記者会見を行ったあと、正午に外国人記者クラブで講演を実施し、午後6時にはまた別の場所で日本や中国、東南アジアに関する講演を行う。そしてその後は東北の被災地を訪れる予定だ。

これは62歳のタクシン氏にとってはかなりのペース変更だ。5年前にクーデターで首相の座を追われて以来、タクシン氏は汚職罪判決による収監を逃れるためさまざまな国を転々としていた。タクシン氏は有罪判決は自らの政治的復帰を阻むためのでっち上げだと主張しており、現在はモンテネグロの旅券を使って旅行をし、アラブ首長国連邦のドバイを拠点に亡命生活を送っている。タクシン氏は過去にも海外での話題作りを試みているが、その影響力は比較的抑えられていた。ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領を昨年訪れたときも、タイの多くの新聞は会談が実際に行われたかどうか確認が取れなかった(会談は実際に行われた)。

だが、選挙をきっかけに事態は大きく展開した。タクシン元首相派「タイ貢献党」から出馬したインラック氏が総選挙で圧勝して以来、タクシン氏の存在は再び国内で議論の的となっている。インラック氏は大衆主義的政策を掲げて選挙運動を実施し、タクシン氏を国へ連れ戻すと公約した。タクシン氏は6500万人のタイ国民の間でいまだに根強い人気を誇っており、軍が支援する既成エスタブリッシュメントにとっては依然警戒すべき存在だ。

今回のタクシン氏の訪日を受けて、インラック政権は現在、野党からの高まる批判に直面している。タクシン氏の利益に資するために取った政府の措置が行き過ぎだとするのがその理由だ。日本は、汚職罪で実刑判決を受けたタクシン氏の入国にあたって特別な査証(ビザ)を発行しているが、これはタイ新政権からの要請に応えたものだと説明している。タイの野党にとっては、スラポン新外相に対する弾劾請求手続きを開始するには十分な理由だ。しかもスラポン外相もまたタクシン氏の遠い親戚ときている。

だがタイと日本のきずなは深い。日本は最大の対タイ投資国だ。また、2004年のスマトラ島沖地震でタイが被害を受けた際にも広範な支援を提供している。スマトラ島沖地震では、タイだけで5000人、地域全体で23万人を超える死者が出た。

東日本大震災の際には多くのタイ国民がお返しとして日本に寄付を行った。自見氏によると、タクシン氏は「ほんの印ばかり」の寄付を日本に行う意向だという。自見氏は、タクシン氏は「印ばかり」と言うが実際の金額は印ばかりではないだろう、謙遜しているだけだと思う、と述べた。

タクシン氏には寄付以外にも日本に対してできることがあるかもしれない。04年のスマトラ島沖地震でタイの主要な観光ビーチの一部が被災したとき、地域の復興を支援した政権で首相を務めていたのは、ほかでもないタクシン氏だ。

特例で入国しました.jpg普通に考えても、タイの現首相でない人物が特別に日本に入国して首脳陣と対談する、というのは異例のことではないでしょうか。タクシン氏が日本で取る行動を一番意識しているのは、他でもないタクシン氏自身ではないでしょうか。

自身の政界への復帰や自国への帰還のために日本をステップにしているのかな、と思うとちょっと微妙ですけどね。