マイカー購入支援策 2

最初の1台.jpgインラック首相が打ち出しているポピュリズム政策のひとつ「マイカー購入支援策」について以前お伝えしました。(http://www.thaiworker.net/cat592/tax-reduction-for-1st-car.html)。初めてのマイカー購入に対する減税政策で具体的には、

・タイ国内生産車

・小売価格が100万バーツ以下

・排気量1500cc以下の乗用車、ピックアップトラック、ダブルキャブ

に限る、という制限がありました。これに対して、車業界から強い反発が出たようで・・・

以下すべてバンコク週報WEB版より

政府が初めてのマイカー購入への税優遇措置を決めたことに自動車業界から強い批判が巻き起こっている。

 タイ自動車産業協会のピエンチャイ会長は、「すべての自動車メーカーが恩恵を受けるものでなく、フェアではない。税収減少で将来的に増税が必要になりかねない」と批判。さらに、「このような政府のインセンティブ無しでも国内自動車マーケットは良好」と話す。

 タイ工業連盟(FTI)の自動車部会も、「自動車メーカーに相談無しで決められた」と憤慨。タイ自動車研究所のワンロップ所長は、「自動車業界がどのような影響を受けるかを考慮せずに人気取りに走ったもの」と強く批判している。

自動車業界に相談無かったというのも驚きですが、特に外国製の車を取り扱う会社から大きなは反論が上がりました。

初めてのマイカー購入での税優遇措置に自動車業界などから批判が出ているが、関係筋によれば、輸入車は同措置の対象外であるため、外国からも批判が出かねない状況という。

マレーシア プロトン.jpgマレーシアはタイに完成車を輸出しているものの、この措置の恩恵を受けられないことから、外交チャンネルを通じてタイ側に不満を伝える意向とのことだ。関係筋は、「AFTA(ASEAN自由貿易エリア)に違反する恐れもある。外国が同様の措置を導入して、タイの自動車輸出が影響を受けるという事態も考えられる」としている。

マレーシアのプロトン、インドのタタ、中国のチェリーなどは、安価な小型車の市場をタイに持っているものの、輸入車であることから今回の政策の対象外とされており、特にインドのタタは憤慨の意を表明するほどの騒ぎとなりました。タイの政府側も一時は「国産車のみを対象としていることが世界貿易機関(WTO)の取り決めに違反している恐れがあるとして、政府は輸入車も対象に含めることを検討しましたが、結局「違反してなかった」ということで、当初通り輸入車は対象外に。

タイ国内で生産しているものの、あとちょっとで対象から外されてしまったフォード社は、インラック首相に直談判したそうです。

最近よく見るフォードフィエスタ.jpg9月29日米フォード社のムラーリーCEOは、政府が先に決めた「初めてのマイカー購入支援」の対象車がエンジン排気量1500cc以下とされている事について、インラック首相に直接会い、同社がタイ経済の成長に長年貢献してきた事などを説明し、フォードフィエスタを支援対象に含めるべく排気量の上限を1600ccに引き上げてほしいと要請した。

 同社によれば、タイでの今年1~8月期のフォード社販売は2万514台。そのうちフィエスタ1600ccモデルは70%を占めており、その40%は初めてのマイカー購入だという。

確かに最近「フィエスタ」をよく見かけますから、売れ行きは上々なんでしょう。そこに、ブレーキとなる政策をは挟まれてしまってはねえ。しかし「国の政策」なのにこのいきあたりばったり感。芯のあるゆるぎない、そしてあらゆる裏づけの上に成り立った政策を一発実現させてもらいたいものです。