昨日7月26日で63歳を迎えた、元首相タクシン氏。タイでのお誕生日は、祝ってもらう人に食事などを振る舞うのが常ですが、タクシン氏は祖国タイの人になんと6万4千個のドーナッツを贈ったそうです。
Newsclipウェブ版より
『26日、この日63歳の誕生を迎えたタクシン元首相から、タイ首相府の職員や記者らにドーナツが届いた。箱には微笑むタクシン氏の写真と「We are
together」という言葉が印刷され、配送はキティラット副首相兼財務相が手配した。ドーナツは全部で6万4000個で、タイ全土で配られるという。

タクシン氏は2006年の軍事クーデターで政権を追われ、事実上亡命。2007年末に行われた民政移管のための総選挙でタクシン派が勝利したため、2008年2月に帰国したが、同年8月に出国し、不在中の10月、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで懲役2年の実刑判決を受けた。その後はタイに帰国せず、主にドバイに滞在している。
今年の誕生日は香港で迎え、駆けつけた家族やタクシン派現政権の閣僚、国会議員、警察長官らから祝福を受けた。ただ、タイに戻れば投獄される身の上で、帰国への道のりは遠い。』
この祝福に、現警察庁長官が香港まで出向いたことが問題視されていますが、副首相がこれを擁護したそうです。
以下2件ともバンコク週報WEB版より
『プリアオパン警察庁長官が香港でタクシン元首相に会ったことで批判を浴びている問題で、チャルム副首相は7月25日、「何が不適切なのか。処分を検討するつもりもない」などと述べて長官を擁護した。
タクシン元首相の元妻ポチャマン氏の兄であるプリアオパン長官は先に香港を訪れ、元首相の誕生祝いに出席した。
これに対し、「元首相は在任中の汚職(職権乱用)で禁固2年の有罪が確定した犯罪人であり、長官はなぜ逮捕しなかったのか」「法の執行人である警察官が犯罪人に会いに出かけるのはけしからん」といった批判が出ている。
しかし、チャルム副首相は、「香港はタイの法律が適用できない外国であり、長官が職務怠慢に問われることはない」としている。
また、ワンチャイ上院議員(タイ弁護士協会幹部)は、「タイ当局の発行した逮捕状で犯罪人を外国で逮捕することはできない。外交チャンネルを通じて当該国に逮捕してもらう必要がある」と述べて、チャルム副首相の反論にも道理があるとの見方を示したが、「プリアオパン長官が香港で元首相と会ったのは法律違反ではないが、公務員としては重大な倫理違反。非常に不適切」と批判している。』
本当なら逮捕する立場にある人が、逮捕される立場にある人のお祝いに香港まで駆け付けてしまったのですから、批判が集中するのも無理ありません。副首相はもっともらしい理由で擁護しつつ、ただ今回のことが一部の人を逆撫でし、国民の不信を買うことはきちんと咎めたようですね。そんな中、当の本人タクシン氏は、なんと「近い将来帰国します」宣言。

『タクシン元首相は7月26日、政権党・タイ貢献党本部に集まった支持者に対し、香港からビデオリンクを通じて「そう遠くないうちに帰国する」と伝えた。
同本部では同日、元首相の63歳の誕生日(7月26日)にちなんだ「タクシン・チナワット・ライブラリー」が開設され、これを祝うために大勢の支持者が訪れた。
また、タクシン元首相は、「民主党の諸君にもライブラリーに来て書籍を読んでもらいたい。そうすれば、カネでなく、知識が力であることがわかる。
民主党はわたしの資産の60%を奪い取ったが、これは、『カネがすべて』という誤った考えによるものだ」と述べて、元首相に「汚職まみれ」などとの批判を浴びせてきた反タクシン派への反撃を繰り広げた。』
明らかに挑発と取れるこの発言。親、反タクシン派の和解がまた遠のいたのは事実でしょう。