タクシンで揺れるタイ

先週末、バンコク郊外の道を走っていたら赤い服を着た人たちがやたらといるではないですか。都心での大規模集会ならまだしも、ほとんど隣県の小さな街で、子供から大人まで赤いシャツを着てぞろぞろ歩いていると不気味。何だろうと思ったのもつかの間、ちょっと先の学校の校庭で集会が開かれているのが車中から見えました。

赤い服を着た人たちが集まり、特設舞台では誰かが演説している様子。道路脇には、赤いシャツや赤関連グッズ、飲み物、食べものを売る屋台が出ており、異様な雰囲気が漂っていました。

このブログでもお伝えしてきましたが(http://www.thaiworker.net/cat592/national-reconciliation-law.html)タクシン元首相帰国の道を作るべく法案「国民和解法案」を巡り、親反タクシン派両派の動きが再び激しくなっていました。政府がすべき仕事は、タクシン1人でなく国民全体の幸福、国の繁栄を目的としているはずなのですが、ここ1ヶ月ほどのタイの国会はこの法案にかなり労力を割いてきたのではないでしょうか。

採決させないために、反タクシン派が国会議事堂周辺に居座ったりして力づくで制止したかと思えば、タクシン派も負けじと先週私が遭遇したのような、タクシン氏帰国に向けて再び赤い人たちを喚起するような集会を開いたりしています。

そんな中、ひとまず「国民和解法案」の審議採決は見送りとなりました。

産経新聞より

海外で亡命生活を送るタイのタクシン元首相の帰国実現などを狙い、連立与党側が国会に提出した「国家和解法案」と憲法改正案の審議、採決は、19日の会期末を前に次期国会に先送りされた。両法案は、憲法裁判所も介入しての親・反タクシン派の激しい政治闘争を誘発した。インラック首相は、政権基盤にも影響する政情不安の拡大回避へ、ひとまず"休戦"に持ち込み、近く内閣を改造し体勢を立て直す見通しだ。

 国家和解法案は、汚職罪で実刑判決を受けたタクシン氏を無罪放免にする内容。下院では審議に反発した野党・民主党の議員が、議長の椅子を議場の外へほうり出し、与党・タイ貢献党議員の首を絞めるなど混乱した。国会の外では反タクシン派が集会を開き、警官隊と衝突した。

 これに憲法裁判所が、憲法改正案の審議の一時中止を命じたことから、今度はタクシン派が「司法クーデターだ」と反発し集会を開き、国王が任命した判事7人の罷免を求めている。

赤い人たちの集まり.jpg与党内には、裁判所の命令を無視し審議と採決を強行すべきだ、との論もあった。採決すれば与党多数の中で可決は確実。だが、法案成立に必要な国王の承認が得られず、逆に政権が窮地に立つ恐れがあった。クーデターの噂も絶えない。

 そこへきて13日には検察庁が、政府系銀行による不正融資に関与していた疑いで、タクシン氏らを新たに起訴し、事態をいっそう複雑なものにしている。

タクシン派がやや劣勢かと思いきや、今月の24日に大規模な集会を開くというニュースが入ってきました。

バンコク週報WEB版より

タクシン派の政権党・タイ貢献党の実動部隊、反独裁民主戦線(UDD)は、抵抗勢力が現政権の転覆を謀っているとして、これをはねつけるべく、絶対君主制から立憲君主制への移行を実現した立憲革命からちょうど80年となる6月24日、これまでで最大規模の集会を開催してタクシン派の勢力を見せつけることを計画中という。

UDDの首脳陣は、「旧権力層が独立機関を通じて反撃に出てきた」と感じているというが、これは、先に憲法裁判所が国民和解案(憲法改正案)の第3・最終読会の差し止めを命令したことなどに原因という。

なお、関係筋によれば、タクシン派は反タクシン派との対立を「民主化推進派と守旧派の対立」としているが、これについては、「私利私欲を優先した金権政治、汚職、国家ビジョンの欠如などへの批判をかわすためにもっともらしい言い訳をしているにすぎない」との見方もある。』 

今度の日曜日に開催されるとのことですが、こんなことを繰り返していてはタイという国の信頼、基盤が揺らぐばかり、広い目で見ればプラスになるとは思えないですよね。いつまで続くのでしょうか。