最低賃金引き上げ実施2

前回のブログ(http://www.thaiworker.net/cat592/raise-minimum-wage1.html)で4月1日より引き上げられた最低賃金について書きました。

インラック首相が選挙の際に公約していた「最低賃金引き上げ」ですが、目的は貧富格差の是正と景気の刺激。しかしながら、入ってくるニュースは経済活性よりも縮小寄りのものが多いように思います。また、賃金引き上げに伴い物価上昇を懸念する声もあり、実施はされたものの不安ばかりが先行しています。

日系企業も含め、産業界に大打撃を与えた昨年の洪水から半年、多くの工場が再開し、タイへの投資が戻ってくる機会と言える中、今回の賃金上昇が足踏みさせているようです。

NNAより

工業省工場局によると、3月の工場設立件数は262件となり、投資額は前年同月の220億バーツ(約595億円)から4分の1となる54億3,400万バーツへと急減した。昨年の洪水被害の影響が残っていることに加え、今月から始まった法定最低賃金引き上げの影響を見守りたいという意向が働いたもようだ。

 2日付ポストトゥデーによると、県別で最も投資額が大きかったのは東部チャチュンサオ県の11億100万バーツ。中部で被災した工場の移転の受け入れ先になったことが要因とみられる。以下、東北部シーサケート県3億9,300万バーツ、バンコク西郊サムットサコン県3億7,600万バーツ、東部プラチンブリ県3億1,000万バーツ、中部サラブリ県3億300万バーツ――と続いた。

 最低賃金が300バーツに引き上げられた7都県(バンコク、ノンタブリ、パトゥムタニ、サムットプラカン、サムットサコン、ナコンパトム、プーケット)の3月の投資額合計は13億4,800万バーツ。前年同月の73億3,900万バーツから8割以上減少した。

最高で40%の上昇率となった最低賃金引き上げがもたらす影響は大きく、これだけが理由でないにせよ経済にマイナス効果を与えてしまっては元も子もありません。

バンコク週報WEB版より

タイ商工会議所が、今回の最低賃金引き上げによる中小企業への影響について、少なくとも全体の10%にあたる20万社以上が半年以内に廃業、もしくは国外へ移転するだろうとの予測を発表した。

 ブーミン副会頭は、「最低賃金が上がっても中小企業の収入は変わらない。今後は中小企業の約98%が危機感を覚え、特に労働者数25人以下のところは事業を続けられなくなる可能性が高い。コスト高回避のために国外移転も増えるだろう」とし、「この賃上げに動じないのは、労働者数500人以上の企業で全体のわずか1%だけ」と指摘する。

 さらに、これらは年間平均4000億バーツの外国直接投資(FDI)にも大きく影響するとみられ、今後は25%の落ち込みを示すと予測。また、「今回の賃上げの影響が本当に深刻化するのは2013年から」との見方を示した。

 タイ商工会議所では、すでに政府に対し、中小企業への経済支援などを要請しているという。
また、タイ観光評議会によれば、今回のようなテロ事件の再発を恐れて行楽に出かける人も減少する見通しで、ソンクラン期間の観光収入が2億バーツ程度落ち込むことが予想されている。

至って悲観的な予想ですが、中小企業にとっては死活問題。政府は企業側には法人税の引き下げなどの対策も取っていますが、帳尻あわせでは意味がありません。タイにいる人の生活が豊かになり、経済も活性化させる、この両立を目指す具体的な策を打ち出してもらいたいものです。