最低賃金引き上げに向けて

公約として早くから訴えてきました.jpgタイ貢献党が選挙時から公約に掲げてきた「最低賃金引き上げ」が、実施に向けて大きく動き出しているようです。もともとこの公約作りに参加した元タイ証券取引所のキティラット副首相兼商務相らが先頭に立って、導入に向けてあれこれ試算を繰り返しているようですが、実際に賃金を出す企業側へも減税などの配慮をとるとのこと。

日本人にしてみたら、一日の最低賃金が300バーツと聞くと「え?時給?」と思ってしまいそうですが、現在最も低い所で一日159バーツとのこと。これが倍近く上がるのですから、もらう方もあげる方も今までどおりじゃいかない、というのはわかりますよね。

NNAより

新政権の経済政策を主管するキティラット副首相兼商務相は、最低賃金の引き上げについて「可能な限り早期に実施する」と述べ、企業はワーカーの生産性向上など労務コストの上昇を前提とした準備を始めるべきだと呼び掛けた。ただ、法人税などの税率見直しも並行して行うとして、企業負担を一方的に強いることはないとあらためて強調した。

プアタイの縦看板にも書いてありました.jpg13日付バンコクポストのインタビューなどによると、キティラット副首相兼商務相は経済政策の優先順位を(1)物価の安定(2)コメ担保融資制度(実質的なコメ買い上げ制度)の導入(3)燃油価格の安定(4)最低賃金300バーツ(約770円)への引き上げ――とした。

 新政権は低所得層を中心に生活の質を向上させる方針を強く打ち出しており、インフレからの生活防衛や農家の所得拡大と並ぶ優先課題として、最低賃金の引き上げ実現に向けた意志を明確にした形だ。キティラット氏はまた「タイは国内労働力が不足しており、いつまでも労働集約型産業に集中してはいられない」と述べ、賃金が上がってもワーカーを解雇するのではなく、生産性を高めるための訓練を強化すべきとの考えを示した。

 一方、「企業はパニックに陥る必要はない」とも強調。賃上げの見返りとして提示している法人税率の30%から23%への引き下げなど、税制改革にも6カ月以内をめどに取り組む考えを明確にした。

 キティラット氏は元タイ証券取引所(SET)の所長で、民間からの入閣。最大与党・プアタイ党(タイ貢献党)の所属ではないものの、インラック首相やその兄のタクシン元首相と近い関係にあるとされ、プアタイ党の政権公約作りに関わった。

 同じく民間から入閣した主要経済閣僚のティラチャイ財務相(前タイ証券取引委員会=SEC事務局長)も、最低賃金引き上げを含むプアタイ党の経済政策を積極的に推進する意向を表明した。

 同氏は公約作りには関与しなかったとする一方、低所得層の利益を重視する政策の方向性を「全面的に支持する」と強調。財政規律の維持を前提に、所得向上と企業負担の軽減を両立させる考えを示した。

 ■経済閣僚、財界はおおむね歓迎

所得が増えるの?.jpg労務コストの上昇に気をもむ財界だが、キティラット氏とティラチャイ氏の閣僚就任はおおむね好意的に受け止めている。

 タイ商工会議所(TCC)のドゥシット会長は「彼らのビジネスバックグラウンドは財務相、商務相に適任だ」と評価。ティラチャイ財務相はタイ中央銀行(BOT)副総裁の経歴も持つことから、タイ工業連盟(FTI)のタニット副会長は「財政と通貨政策の協調が進む」と期待を示した。

 ただ、タニット氏は「商務相としてキティラット氏が正しい人選かどうかは疑問だ」とも指摘。同氏がこれまでの経歴の中で、実体経済を相手に仕事をした経験が少ないことに懸念を示した。

 タイ商工会議所大学(UTCC)経済ビジネス予測センター(CEBF)のタナワット所長は、インラック政権の経済閣僚人事を「10点満点で7点」と採点。減点要素については、「キティラット、ティラチャイ両氏ともマクロ経済分野の実務経験が足りない」との見方だ。

雇われる側の収支、雇う側の収支、そして国の収支、その3つがうまくバランスを取り合った上で経済成長を達成する。うまく舵を取ってもらわないといけませんね。

Newscipウェブ版より

10日に発足したタイのインラク内閣は16日の閣議で、最低賃金の1日300バーツへの引き上げ、大学新卒者の初任給月1万5000バーツへの引き上げといった政策を国会で行う施政方針演説に盛り込むことを決めた。施政方針演説は24日に行われる見通し。

労働者にとっては嬉しい.jpgタイの最低賃金は今年1月から各都県で1日8―17バーツ引き上げられ、最も高い南部プーケット県で221バーツ、最も低い北部パヤオ県で159バーツになった。バンコクは215バーツ。300バーツに引き上げた場合、上げ幅は36―89%に達する。

賃金上昇に伴い労働の質も上昇を狙うのは雇用する側の意見、どこでも最低賃金が均一ならより楽な仕事に流れるのが労働者の心理、だったりはしないのでしょうか。