インラック政権の大目玉政策「最低賃金1日一律300バーツに引き上げ」に関しては、以前もこちらのブログでお伝えしました。
http://www.thaiworker.net/cat592/raise-minimum-wage.html
実現すれば雇用者の懐は潤いますが、賃金を払う側や政府の負担が増えるわけで、これに関しては経済学者などから不安の声も上がっていました。そんな政策が、どうやら実現に向けて各方面で具体的に進んでいるようです。
以下すべてバンコク週報WEB版より
『国営企業委員会は9月30日、政府の方針に従い、国営企業職員の1日当たり賃金を10月1日から300バーツに引き上げる方針を固めた。
対象となるのは、これまで1日当たりの賃金が300バーツ以下だった2万4419人。これによって国営企業の支出は月間2390万バーツほど増加する。
同委員会によれば、この賃上げは、まだ正式決定ではなく、労働省が提案し閣議で承認された後、10月1日にさかのぼって適用されるとのことだ。』
タイの国営企業には石油のPTTや電気のEGATなどがありますが、実は前アピシット政権時代の今年4月に、引き上げ後の月給が5万バーツを下回る社員を対象とした基本給の5%引き上げを実施しており、またも国の恩恵を受けるというわけです。これに関しては、総選挙前の民主党によるばら撒き政策ではという声もありましたが、今回はタイ貢献党からもよくしてもらえるようですね。
また、フランス系企業も最低賃金の引き上げに向けて準備を進めています。
『タイ国内のフランス系企業の多くが、新政府による300バーツへの最低賃金引き上げに前向きという。
ジルダ・ル・リレック仏大使はキティラット副首相兼商業相に、「タイに進出している仏系企業のうち、約400社が導入を検討中だ。仏系企業の待遇はすでによいが、さらなる厚遇化に各社とも賛成している」と述べた
また、これら仏系企業が雇用しているタイ人は10万人を超えているとのことだ。
同大使はさらに、最低賃金引き上げにより消費を活発化することで、タイの経済成長に貢献したい、と話している。
一方、欧州連合(EU)が、タイと自由貿易協定(FTA)締結を含む交渉を再開しようとしていることについて、キティラット副首相は、「FTAには利点も問題点もある。タイ産業界への影響も大きい。慎重に対応したい」とコメントした。
EUは約2年前、ASEANとのFTA交渉が決裂。その後はタイなど、個々のASEAN加盟国と直接交渉を行ってきた。』
タイに進出しているフランス系企業というと、大手スーパーのBigC、保険会社のAXA、シャンプーや化粧品のL'Orealなどがありますが最低賃金引き上げに積極的な姿勢を見せているようでうす。
ところで、インラック首相のツイッターアカウントがハッキングに遭いました。
『ハッカーが書き込んだコメントは、「政治もビジネス、我々はタイ国民のためではなく身内や仲間のために動いている」、「我々は票取りのため、我々の利益のためだけに貧困層を欺いている」、「タイは今こそ転機。より良い国を目指す時。特定の企業や組織のイメージアップばかりしている場合ではない」、「今が目覚めの時。愚行は根絶されなければならない」など。』
ハッカー個人の声なのか、誰を代表する声なのか・・・