反タクシン派による集会

タクシン元首相の妹が首相となり政権を握る現在のタイですが、いつかはこうなるのではと誰もが予想していたのでしょうが、国外逃亡中のタクシン氏帰国に向けての道筋が徐々に徐々に具体的になってきました。こうなると、かつてクーデターを起こしタクシンを国外追放した反タクシン派は黙っているわけもなく、明日30日に大規模なデモを実行すると発表がありました。

Newsclipウェブ版より

タクシン元首相に対する実刑判決の無効化などを含む「国家和解法案」が30日に国会審議入りする見通しとなった。野党民主党、市民団体「民主主義のための市民同盟(PAD)」といった反タクシン派陣営は一斉に反発し、PADは30日に国会議事堂近くで反対集会を開く方針を示している。

法案は下院の国家和解検討委員会(委員長、ソンティ・ブンヤラカリン元陸軍司令官)がとりまとめ、24日に下院に提出した。

 法案の骨子は(1)2005年9月15日―2011年5月10日に起きた政治集会や政治的な意見表明による法律違反と、政府によるこれらの取り締まりに際した法律違法について、全ての刑事責任追及を中止し、すでに出た判決を無効とする(2)2006―2007年の軍事政権が設置した組織による司法案件の刑罰を無効とする(3)役員を務める政党の解党で5年間の参政権停止処分を受けた政治家全員の参政権回復――の3点。

 ソンティ元司令官は2006年9月の軍事クーデターでタクシン政権(2001―2006年)を追放し、軍事政権を樹立した人物で、軍政の命令を否定する法案を自ら提出するという皮肉な役回りとなった。ただ、ソンティ氏は反タクシン派の特権階級から命令を受けクーデターを実行し、渡されたシナリオ通りに行動しただけとみられ、2007年には軍を定年退官した。今回はクーデターの際に自らが「反王室の腐敗政治家」と呼んだタクシン氏のために一肌脱ぐ形となった。

 タクシン氏は国外滞在中の2008年、首相在任中に当時の妻が国有地を競売で購入したことで懲役2年の実刑判決を受け、その後は投獄を避けるため、タイに帰国せず、主にドバイに滞在している。2010年2月には一族の資産約470億バーツが不正蓄財として国庫に没収され、これをきっかけに、3―5月のタクシン派市民によるバンコク都心部の占拠、死者91人、負傷者1400人以上を出した治安部隊との衝突に発展した。タクシン氏への実刑判決と資産没収はいずれも軍政が設置した組織による調査の結果で、和解法が施行されれば、(2)により、無罪放免、資産返還となる見通しだ。(1)に関しては、不敬罪も対象になる可能性があり、その場合、不敬罪で逮捕、投獄されたタクシン派市民が出獄することになる。

 和解法案に対し、野党民主党は「和解ではなく、タクシン氏に利するだけ」「司法制度の破壊」(アピシット党首・前首相)と反対の立場を明確にしている。

 PADは26日、バンコク都内のルムピニ公園で反タクシン派テレビ番組の公開収録を行い、集まった反タクシン派市民数百人の前に、PAD創設者で実業家のソンティ・リムトーンクーン氏が久しぶりに姿を見せた。ソンティ氏は和解法案に断固反対する姿勢を強調し、「今回が最後だ。負けたら死ぬ」と、支持者に反対運動への参加を呼びかけた。PADは法案審議が始まるとみられる30日にバンコクのアナンタサマーコム宮殿前で反対集会を開き、その後、国会議事堂までデモ行進する予定だ。

 タクシン派が下院の過半数を抑えていることから、反タクシン派は国会で和解法案の成立を阻む手段がない。阻止するには、憲法裁判所が法案内容を違憲とする判断を下すか、大規模な街頭デモで法案撤回に追い込むかしかない。そうした意味で、30日のPAD集会にどの程度の人数が集まるかに、法案の運命は大きく左右される見通しだ。

 タクシン派与党プアタイは同法案への対応を明確にしていない。「和解」と銘打ったものの、内容はタクシン氏への有罪判決を洗い流し、帰国への道筋をつけるもので、国会で採決を強行すれば、軍、世論の反発を招きかねない。ソンティ元司令官に法案提出を任せたのもこうした懸念からとみられ、世論、軍、反タクシン派の動向をみて対応するとみられる。

 タクシン派と反タクシン派の対立は当初、新興財閥と特権階級の権力闘争とみられたが、紛争が長引く中、民主化勢力と特権階級の対立に深化したという見方がある。タクシン派は2006年のクーデターと同派解党を命じた2008年の司法判断で、2度、政権を追われたが、総選挙では2001年、2005年、2007年、2011年と4連勝中。反タクシン派は軍事クーデター、裁判、街頭デモなどで対抗し、不安定な政局が続いている。

明日のデモに関して、在タイ日本国大使館からも注意を喚起するメールが来ていますので、下に添付します。

タイ在留邦人の皆様へ
【大使館からのお知らせ】                                     緊急一斉メール

          市民民主化同盟(PAD)による抗議集会の実施
                  (5月29日現在)

1.治安当局等によれば,市民民主化同盟(PAD:通称「黄シャツ・グループ」)は,国民和解法案が国会に提出されたことを受けて同法案に反対するために以下のとおり抗議集会を行う模様です。

●日  時:5月30日(水)午前9時頃~
●場  所:ラマ5世騎馬像前。その後国会議事堂へ向けてデモ行進を予定。
●人  数:5,000人以上が参集する可能性有。


2.つきましては,上記1.のとおり,PADによる抗議集会の影響により,抗議集会が実施される周辺においては交通渋滞や人の混雑が予想されますので,報道等から最新情報の入手に努めるとともに,抗議集会が実施される周辺に近づく場合には,十分に注意を払ってください。


(問い合わせ先)
○在タイ日本国大使館領事部
 電話:(66-2)207-8502、696-3002(邦人援護)
 FAX :(66-2)207-8511