新政権の動き 4

色んな懸念が.jpg先週無事に当選が認定され、タイ初の女性首相に就任間近のインラック氏ですが、選挙中に訴えてきた公約、それに対する批判や心配の声があちらこちらから上がっているようです。

その中でも最も大きな声が向けられているのが、「賃金引上げ政策」。一挙に引き上げるのは断念したにせよ、経済や国の財政に与える影響を懸念する意見が多くなってきているようです。

NNA.ASIAより

23日付各紙によると、カシコーン・リサーチ・センター(KRC)は、来年のインフレ率予測を従来の4%から5%へ修正した。1日当たりの最低賃金を全国一律300バーツ(約800円)に引き上げ、大学新卒者には最低月給1万5,000バーツを保証する公約を掲げたプアタイ党が総選挙で勝利したことが背景だ。

タイ商工会議所大学(UTCC)は今月16~17日に全国800社を対象に実施した調査を基に、賃上げ政策は来年の物価上昇幅を1.1~1.3ポイント押し上げると分析。商務省が予測するインフレ率3.2~3.7%に当てはめると、やはり最大で5%に達する計算になる。

TMB銀行(TMB)はさらに、振れ幅の大きい生鮮食品とエネルギーを除いたコアインフレ率についても、来年後半には5%に届くとの見方を示した。

今年6月のインフレ率は前年同月比4.06%、コアインフレ率は2.55%。TMBによると、過去10年にコアインフレ率が4%を超えたことはなく、5%に達すれば近年の原油高騰を上回るインパクトになる。

■中銀もリスク言及

タイ中央銀行(BOT)は22日に発表したリポートで、今年と来年のインフレ率予測をそれぞれ3.9%と3.2%に据え置おいた。一方、コアインフレ率については今年が2.4%、来年が2.3%とし、従来予測からそれぞれ0.1ポイント、0.2ポイント引き上げている。

ただ、この予測は賃金引き上げの影響を含んでおらず、中銀のパイブーン総裁補は「政府の方針が明確になれば見直すこともある」と指摘。「労働者の生産性に見合わない急激な賃上げは生産コストの拡大に直結し、物価上昇に大きな影響を与える」と懸念を示した。

インフレが進めば、金利上昇も加速する。KRCは、中銀が来月の金融政策委員会(MPC)で政策金利(翌日物レポ金利)を3.25%から3.50%に引き上げる見通しを示した上で、来年には4.50%まで上がると予測している。

■企業倒産20万社

賃金引き上げの影響は物価上昇だけにとどまらない。UTCCの調査では、企業の97.1%が「外国人労働者に切り替える」としたほか、「機械化を進める」(68.7%)、「従業員を一時解雇する」(65.8%)、「会社を閉める」(35.8%)といった雇用縮小につながる回答が相次いだ。「商品価格を引き上げる」は78.4%だった。

UTCC経済ビジネス予測センター(CEBF)のタナワット所長は「最悪の場合、50万人が職を失い、10万~20万社が倒産する」と分析。特に繊維、皮革、建設などの産業や、中小企業で打撃が大きいと説明した。

同所長はまた、「賃金が上がっても企業が商品を値上げするのでインフレが進み、消費が滞って経済全体が縮小する」と述べ、来年の国内総生産(GDP)成長率を0.2~0.4ポイント引き下げる要因にもなると指摘した。

新政権が公約を守りつつ経済への打撃を回避するには、企業負担を軽減するための支援も並行して求められそうだ。

UTCCの試算によると、賃上げに伴う民間企業の負担増は全体で少なくとも年間1,400億バーツ。仮にこれを政府が全額肩代わりした場合、成長率は逆に1.0~1.3ポイント拡大し、インフレ率の押し上げ幅も0.8~1.0ポイントに抑制できるとしている。

なるほど、賃金が上がっても物価が上昇したら意味が無いということですよね。最後のくだり、政府が賃上げ分を全額肩代わりすればなんて言う意見も出ているようですが、国の財源を確保するために、VATを引き上げるべきだという声もあるようです。

インラック氏が政治の指揮を執っていくのか.jpgバンコク週報WEB版より

国税局のサティット局長が、7%という現在の付加価値税(VAT)は低すぎるため、新政権はこれを引き上げるのが望ましいとの考えを明らかにした。

 タイ貢献党は VAT増税には言及していないが、景気の拡大に伴い、VAT引き上げで歳入拡大を図るのは一般的であり、タイもこれにならうべきとのことだ。

 同局長は、 「VATを10-30%に設定している国が多い。VATを増税しても、生活必需品は対象外であり、低所得者が影響を受けることはない」と説明している。

持ってる人からしっかり税金を取って、持ってない人に還元するということなんでしょうか。インラック氏は、選挙中から兄である元首相タクシン氏の手引きがあるのではないと言われ続けていますが、国民も国もハッピーな政策を推し進めていくことはできるのでしょうか。