国民和解法案を巡って

タクシン元首相帰国の足取りとなる「国民和解法案」をめぐり、その採用を阻止させようと国会は荒れに荒れています。連日、椅子が飛んできた、首ねっこ掴まれたなどのネタがニュースを騒がし、法案を境に真っ二つにわかれた議員がもめています。

外野である私にしてみれば、もう何年も親タクシンと反タクシンが政権を取り合っては、憲法だの法律だのをいいようにいじって、タクシン氏の立場を悪くも良くもしてきたのですから、中立派が政権を執るのが一番だと思うのですが、どうもいろいろな利権も絡み合っているようでそうもいかないようです。

ここ数日の動きを、順を追ってみていきましょう。まずは5月31日に下院の会合で、国家和解法案を議題とすることが強行採決されました。

Newsclipウェブ版より

31日の下院会合で、タクシン元首相派与党プアタイはタクシン氏に対する実刑判決の無効化などを含む「国家和解4法案」を緊急議題とすることの是非を問う採決を強行し、警官多数が下院議長の周囲を固める異様な状況の中、可決した。野党民主党は採決に抗議し、議場内は怒号に包まれた。法案の審議は1日から始まる見通し。

 プアタイは30日の下院会合で採決を目指したが、民主党の男性議員が下院議長の腕をつかんで椅子から引きずり降ろそうとしたり、女性議員が議長の椅子を廊下に放り投げるなどし、大混乱に陥った。

明けて6月1日、反タクシン派が力づくで審議を延期に持ち込み、PAD市民民主連合が大抗議に出ました。

時事通信より

タイ国会に提出された国民和解に関する法案に対し、国外逃亡中のタクシン元首相を帰国させる目的だとして反発する反タクシン派「民主市民連合」が1日、議員の登院を妨害し、同法案の審議は延期に追い込まれた。
 市民連合は先月30日、国会前の道路を約5000人で占拠し、集会を開始した。1日には議員の車が入る門を包囲して登院を阻止。国会は同日の審議を断念した。

国会議事堂の周辺で抗議活動を行っているPADの数は増えており、1日に審議阻止のため議員の登院を食い止めました。この審議は現在のところ、6日に延長されています。

2006年タクシン元首相が外交中に、突如起こったクーデター。ちょうど夜遊びに出掛けていた私ですが、突然お店のライトが煌々と輝き、サプライズかと思ったらそれまで大音量でかかっていた音楽が消え、店内放送から男性の緊迫した声が聞こえてきました。と同時に、一斉にざわめく客。少し離れたテーブルにいた旦那がすっ飛んできて、「帰るぞ!」。

車に乗ってようやく「クーデター発生」の事実を知りましたが、私が知っているクーデターはそれこそ内戦状態。酔いもいっぺんに冷め、恐ろしい思いを抱えながら帰途に付きましたが、帰ってみれば義母たちが普通にテレビを見ている。ただし、映像は軍部の人たちによる演説、それも全てのチャンネル。どうやら、流血なきクーデターだったらしいことはわかりましたが、軍部がメディアジャックという状況に、妙な恐ろしさを感じたものです。

それから数年のうちに、空港占拠、今度は流血を伴う騒乱があったりと、いつになっても落ち着かないタイの政治状況。去年と今年は特に大きなことが起こらずにきましたが、今回の法案をめぐって何かありそうな気がしてなりません。