前回のブログで、タイ中部にある日系企業の工場が相次いで浸水被害に遭ったことをお伝えしたばかりですが、間接的な被害も広がっているようです。
Newsclipウェブ版より一部抜粋
『トヨタ自動車はタイ中部を襲った大規模な洪水で部品メーカーが被災し部品不足に陥ったことから、11―15日、タイの3工場全てで生産を停止する。従業員1万6000人は出勤し、技能研修や清掃に当たる。
トヨタはタイでピックアップトラックの「ハイラックス」、乗用車の「プリウス」「カムリ」「カローラ」などを生産している。年産能力は65万台。同社のタイ工場はいずれも洪水で被災していない。
マツダも同様の理由で、タイ東部ラヨン県の工場の稼動を11日から3日間停止する。マツダのタイ工場自体は被災していない。
ホンダはタイ中部アユタヤ県の工場(ロジャナ工業団地、年産能力24万台)が8日から洪水で浸水した。4日から生産を停止し、完成車約4000台を近隣のドンムアン空港に避難させたが、移動できなかった数百台が工場内で水没した。』
そうなんです、車は機械ですから水に弱い。我が家近くの道も1本完全に冠水している通りがありますが、ピックアップ、トラック、4輪駆動車しか走っていません。現在ひざ下程度の深さですが、それでも普通の乗用車やバイクの場合、水がオイルや機械の中に入っていってしまい故障の原因になるそうです。
自動車以外にも精密機械、電化製品などを作る日系企業の工場が操業停止に追い込まれるニュースが次々と入ってきています。
ブルームバーグより
『ソニーは洪水が発生しているタイ・アユタヤ県にあるデジタルカメラやレンズの工場で、現地時間の11日正午から操業を停止している。工場施設への被害はないが、従業員の安全を確保する必要があることに加え、部品供給にも支障が出ているため。』
以下2件ともNewsclipウェブ版より
『沖電気工業は11日、タイ中部アユタヤ県ロジャナ工業団地にあるプリンター製造子会社OKIデータ・マニュファクチャリング(タイランド)(ODMT)の工場が洪水で被災し、操業を停止したと発表した。人的被害はないが、工場内に立ち入りできないため、被害の詳細は把握できていない。復旧時期は未定。
ODMTは1994年設立。カラーLED(発光ダイオード)プリンター、モノクロLEDプリンター、複合機、ドットインパクトプリンターなどを年間50万台生産し、世界各国に出荷している。』
『ロームは11日、大規模集積回路(LSI)を製造するタイ子会社LAPISセミコンダクター(アユタヤ)のタイ中部アユタヤ工場(ロジャナ工業団地)が洪水により8日から生産を停止したと発表した。生産再開の時期は未定。ロームグループの他の生産拠点などで代替生産の準備を進めている。
LSI、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、タンタルコンデンサなどを製造するタイ子会社ローム・インテグレイティッド・システムズ(タイランド)のタイ中部パトゥムタニ工場(ナワナコン工業団地)は洪水の浸水はなく通常通り稼動している。』
ほかにも、日本電産、日本電気、日東工器などの日系企業の工場が被災しているそうです。24時間操業の工場も多い中、操業停止が与える打撃というのは甚大です。アユタヤに工場を構える日系企業で働く友人は、今回の水害は天災でもあり人災でもあると、もっと未然に防げたのではないかと嘆いています。駐タイ日本大使も、タイの政府に日系企業の救済を要請しました。
MSNニュースより
『小島誠二・駐タイ大使は11日、タイ政府の洪水被害対策センターを訪れ、野田佳彦首相と玄葉光一郎外相からのお見舞いのメッセージを伝えるとともに、工場の浸水などで操業停止を余儀なくされた日系企業の救済を要請した。
今回の洪水では、中部アユタヤ県の工業団地2カ所が冠水し、ホンダの自動車工場などが生産停止に追い込まれている。
大使は、日系企業全体で70万人を雇用しているとして、タイ人の雇用を守るためにも被災対策を講じるよう要請。対策センター責任者のプラチャー法相は「全力を尽くす」と述べた。
大使はまた、日本政府が供与を決めたテントや浄水器など3千万円相当の緊急援助物資が12日に到着することを伝えた。』
聞くところによると、洪水による被害は保険の対象に入っていないとか。被害総額がどれほどのものになるか、それをすべて自社で損失として計上しなければならないのか。今後の経済はどうなっていくのでしょうか。