昨日はタイの日本人の友人たちと集まっていたのですが、駐在員メンバーは一様に暗い顔をしていました。今回の洪水被害、近々実施されるだろう最低賃金引き上げ、折からのインフレでタイの経済はどうなってしまうのかと嘆きながらのお酒でした。
洪水被害のニュースは、拡大を伝える一方で、一向に水が引く気配がありません。それどころか、来週は海水の潮位の上昇に伴い更なる被害が出る恐れがあるとのこと。これに対して、当初政府は経済への影響は少ないと言っていましたが、どうもそういうわけにはいかなくなってきているようです。
ブルームバーグより
『タイのキティラット副首相兼商業相は、政府が今年の経済成長見通しを下方修正する可能性があることを明らかにした。過去半世紀余りで最悪の洪水による被害を理由に挙げた。副首相は7日、バンコクで記者団に対し、「アユタヤにある2つの重要な工業団地を洪水から守る必要がある」と語った。
同国の国家経済社会開発庁(NESDB)は今年の経済成長率を3.5-4%と予想している。』
サハラタナナコンに工場を持つ会社の友人によると、平屋の工場の被害は特にひどく、2階建て以上の工場では大切なものなどは上階に移動したところもあるようですが、とにかく人が立ち入れない状態となっており、実質的には何もできないとのこと。
以下2件ともNewsclipウェブ版より
『タイ中部アユタヤ県の大規模な洪水で、タイ工業団地公社(IEAT)は7日、同県内のバーンワー(ハイテク)工業団地に対し、浸水の恐れがあるとして、同日から11日まで閉鎖するよう命じた。ハイテク工業団地にはキヤノン、HOYAなど約120社の工場がある。団地内の労働者数は約6万人。
IEAT管轄の工業団地に洪水で閉鎖命令が出たのは4日に浸水したサハラタナナコン工業団地(アユタヤ県)に続く2件目。』
『タイ中部アユタヤ県の大規模な洪水で、同県内のロジャナ工業団地(アユタヤ)は団地の堤防のかさ上げなど対策に追われている。7日時点で団地内への浸水はないが、「アユタヤ県知事から、上流のプミポンダムが満水になって放流され、その水がアユタヤに到達するのが来週12―15日と報告を受けた」「県知事から、従業員の安全を確保するため、団地内の工場の操業を一時停止した方がいいだろうというアドバイスがあり、入居企業に伝えた。それにより、今日(7日)から操業を一時停止する企業が見られる。(ロジャナ系電力会社の)ロジャナパワーの電力べースで半減となっている」(ロジャナ工業団地)という。
ロジャナ工業団地(アユタヤ)にはホンダ、ミネベア、ニコンなど約200社の工場があり、団地内で働く労働者は約10万人に上る。ホンダの工場は部品メーカーが洪水で被災したため部品不足となり、5日から操業を停止。工場内の完成車の一部を近隣のドンムアン空港に移動させるなど、洪水への備えを進めている。』
これらの地域には上にあるように機械系の工場が多く、水に触れる、ましてや水に浸かったらおしまいというものを扱っているところがほとんどです。部品工場に支障が出たら、それを組み立てる工場が止まり、完成品の数が大幅減になることは防げません。
バンコク週報WEB版より
『タイ工業連盟(FTI)によれば、タイ各地で洪水のため幹線道路が寸断されているほか、中部では数百に及ぶ工場が冠水していることから、輸出にも深刻な影響がおよぶ可能性が高まっている。
FTI中部支部の報告では、中部の7県では約3000の工場が冠水するなどしており、被害総額は少なくとも150億バーツにのぼるという。アユタヤ県のサハラタナナコン工業団地では46の工場すべてが冠水。バンパイン工業団地でも98に及ぶ工場が被害を受けている。ロチャナ工業団地の電子関連工場にも深刻な影響が出ているという。』
ダム、川、用水路など、もうどこも水がいっぱいでこれ以上雨水を溜められない。これ以上降らないでと祈るしかいのですが、今夜も空に不穏な雲が広がってきています。