おととい水曜日の夜の雨は激しかった。日中あれだけ晴れていたのに、夜闇が広がるのに便乗して雨雲がやってきての土砂降り。最初はしとしと降っていたのがだんだん本降りになりそれがいつまでも降り続く、タイの全土が今最も避けたい降り方をしました。
旦那の車で幹線道路から住宅街に続く道に入った途端、一面水。車高の高い4駆に乗っていたにも関わらず、水がたぷたぷ言う音が大きく、ほとんど川で船に乗っている感覚でした。区からの水吸い取り機が必死に水を吸い上げているものの、とても追いつかない様子。道には立ち往生している車もあり「これはただ事ではない」と恐ろしくなりました。
テレビのニュースでも、バンコク市内にも洪水の波がやってきたと流しており、我が家は朝から親戚や知り合いからの電話がひっきりなしに掛かってきては、それぞれの地区の洪水被害の様子やお見舞いの言葉を交わしています。
友人の日本人駐在員からは中部の工業団地にある工場が冠水した写真を見せてもらいましたが、1階が全滅というレベル。精密機械を扱う会社に勤める友人は、被害総額がどれほどのものになるか、また洪水は毎年のことだから補償対象にならないとか、会社の規模と被害の度合いによっては倒産するところも出るのではという話まであります。
NNAより
『洪水の被害が拡大している。主要ダムの貯水量が限界に達しているため、放水により下流域での洪水が懸念されている。中部アユタヤ県では工業団地が浸水で閉鎖に追い込まれるなど、日系を含む製造業にも影響が出ている。洪水の被害額は現時点で200億~300億(約492億~740億円)バーツと見積もられている。
バンコクポスト(電子版)によると、内務省・災害防止軽減局は、6日時点で28県で被害が報告されていると発表した。影響を受けているのは260万人、死者は244人、安否不明は3人。
運輸省傘下の長距離バス運行会社トランスポートは6日、北部行きの全便を運休すると発表した。中部アユタヤ県の主要道が冠水し、通行不能になったため。
6日付各紙によると、タイ中央銀行(BOT)のプラサーン総裁は5日、洪水の被害額が200億バーツに上るとの試算を発表した。ただ、経済成長に与える影響は小さいと強調した。
キティラット副首相兼商務相は、被害額が200億~300億バーツで、国内総生産(GDP)比0.2~0.3%になる見通しを示した。
農業・協同組合省によると、農地の浸水で玄米307万トンが被害を受けた。
タイ工業連盟(FTI)によると、全国で自動車部品、電子、食品などの100カ所以上の工場が閉鎖されている。2,100カ所の工場で、10%の従業員が出勤できない状況だ。
工業団地公団(IEAT)によると、アユタヤ県のサハラタナナコン工業団地の浸水深は約2メートル。4日夜にロッブリ川の堤防が決壊したことが洪水の原因。ナラポットIEAT副総裁は、同工業団地の5日間の閉鎖を命じた。
■入居企業、「初めて」の大規模浸水
同団地で温度・湿度センサーを生産する芝浦電子(さいたま市)は6日、工場が被害を受けたと発表。立ち入りできない状況にあり、操業を停止している。同工場は敷地面積2万2,328平方メートルで、従業員数は約700人。日本の担当者によると、1998年の稼働開始以来、これまで今回のような洪水被害はなかった。
自動車用プレス部品を製造する丸順(岐阜県大垣市)も6日、工場が4日から操業を停止していると発表。現在、生産設備などの被害状況について情報収集中という。駐在員11人の無事を確認し、現地従業員の安否確認を進めている。同社ウェブサイトによると、現地法人タイ・マルジュンの従業員数は約1,100人。業績への影響は調査中で、復旧の時期については未定としている。丸順によると、15年ほど前に若干工場が水に浸かる被害があったが、工場のほぼ全面が浸かる今回ほどの被害は初めて。
また、工業用など各種バルブ類の製造・販売を行うヨシタケ(名古屋市)も6日、工場操業を4日から停止していると発表した。周辺地域への立ち入りが困難なため、工場内の詳細な被害状況は把握できていないとしている。同県の工場稼働後、今回のような洪水被害はこれまでなかったという。
電線やネットワーク機器などを製造する平河ヒューテックも6日、工場が被災したと発表。建物への大きな被害はないが、設備の一部が浸水するなどの被害が出ていると説明した。人的被害はなかった。被害状況などを調査中で、復旧見込みについて確認作業を進めている。
別の日系メーカー関係者によると、同工業団地周辺は3日から一部の道路が冠水し、従業員の通勤に影響が出たため、同日に操業を停止する工場もあったもようだ。工場閉鎖を前に建屋内の高い場所へ物を移動するなどの対策を取った企業もあったようだが、ある関係者は「平屋建てでは荷物の移動場所がない」と突然の浸水に対応の限界があることを語った。
また別の関係者も「4日朝の時点では、一部従業員を除いて出社していたようだが、その後の団地からの退去命令と閉鎖措置で、荷物運び出しなどの対策を取る時間はなかったと聞いている」と説明した。
■自動車メーカーも生産停止
サプライヤーの被災で、自動車メーカーも生産停止に直面している。
タイ国トヨタ自動車(TMT)は、各地の洪水被害で部品調達に影響が出たため、5日夜の国内3工場の夜勤操業を見合わせた。6日は昼は操業し、残業と夜勤を停止する。7日以降については今後の状況によるため、6日午後5時時点で不明としている。3工場は、バンコク東郊サムットプラカン県のサムロン、東部チャチュンサオ県のバンポーとゲートウェーにある。
一方、アユタヤのロジャナ工業団地に工場を持つホンダ・オートモービル・タイランド(HATC)は、4日途中から生産を停止した。サハラタナナコン工業団地のサプライヤーからの部品供給がストップしたためで、6日午前11時時点で、HATCの工場は浸水の被害は受けていないという。今後の洪水対策、また生産再開の時期については現在検討中としている。同工場は年産能力24万台で、約5,000人を雇用している。
ホンダなどが入居するロジャナ工業団地は、浸水などの被害は発生していないという。同団地では現在、周辺の水位がさらに上がることも想定し、堤防の上積み作業を進めている。
■ダム下流で避難
ワナラット工業相は、中小企業開発銀行(SME Bank)が被災した中小企業向けに低利融資を行うと発表した。最大100万バーツで総額20億バーツ。金利は通常の8%を6%にする。
タイ発電公団(EGAT)は、北部ターク県のプミポンダムの貯水量が貯水能力の97.6%に達しているが、決壊の心配はないと強調した。ただ、今後数日は毎日1億立方メートルの放水が必要。
下流域では、ターク県内のいくつかの郡で住民避難が始まった。さらに下流のナコンサワン県でも避難が検討されている。』
上の記事でも「こんな洪水に遭ったことがない」という声が相次いでいますが、旦那に聞いてみてもやはりこれほどまでの洪水は経験したことがないそうです。昨晩はきっとタイ全土の人が祈ったでしょうが、バンコクでは雨が降りませんでした。我が家近辺も、本当にこれ以上降ったらまずい、緊迫した状態です。