思えば昨年前半に起きた政治騒乱の際、どのエリアで道路封鎖、どこが危ないなどの情報は、メディアよりもバンコクのあちこちに住む友人知人からの個人の情報が役に立ちました。セントラルワールド放火のニュースは、テレビよりもツイッターの方が早かったし。
そして今年、大洪水という天災に見舞われている中、水がどこまで来ているのか、どこを流れているのか、ニュースと併せて一般市民からのリポートによるサイトが立ち上げられています。
タイ語のみではありますが、ツイッターからの情報、浸水エリアを示す地図などが記載されていてます。
また、在タイ日本国大使館もツイッターをスタート。洪水情報を逐一アップしていくようです。
アカウント → @JapanEmb_Thai
今のところたったの2ツイートというのが不安ですが、タイにいる日本人で大使館に在留届けを出している人には緊急メールやメルマガが届きますが、そうでない一時滞在者や旅行者にもツイッターで今回の洪水情報、喚起メッセージをできるだけ迅速に送ってくれることを期待します。
昨日出かけた先で、タイ人の友人に日系企業の工場被害へのお悔やみ、今後の経済を危惧するメッセージをもらいました。次々と工業団地が浸水し、その画像は多くの人の目にも心にも残るものとなったはずです。そしてまたひとつ工業団地に水が入ってきたというニュースがありました。
東京新聞より
『タイの大洪水で二十一日までに首都バンコク北隣パトゥムタニ県にあるバンカディー工業団地が浸水し、被災した工業団地は計七カ所となった。操業停止などに追い込まれた日系企業は四百社以上に上っている。
バンカディー工業団地には、東芝やソニー、日本電産など日系企業約三十社が入る。地元メディアなどによると、二十日夜、団地を守っていた防水堤が三カ所で決壊。二十一日にはほぼ全域で浸水。高さ約二メートルまで浸水した場所もあるという。同工業団地に近いドンムアン空港には多くの被災者が避難し、テント生活を送る。
タイ政府は、バンコク中心部への浸水を防ぐため、バンコク北部からバンコク東部の川や運河に水を迂回(うかい)誘導している。バンコク東部にはトヨタ自動車やいすゞ自動車、ヤンマーなどの日系企業が入る工業団地や工場があり、各企業は浸水に備えて警戒を続けている。
一方、インラック首相は同日、バンコク東部に誘導された水が下水や運河を伝って中心部へ広がることを警戒し、自然災害法を発令。首相に権限を集中させ、病院や空港などを浸水から守るよう軍などに指示した。
タイ政府の発表によると、これまでの洪水による死者は三百四十二人に上った。』
実際に洪水被害に遭った工場に勤める現地採用の友人は、駐在員の多くが家族とともに日本に緊急一時帰国をしたと言っていました。そして工場を稼動できない中、スタッフの人員整理をしなくてはならないと言っていました。
つい先ほど、インラック首相から水が引くのに1ヶ月は掛かると見越した上で、4~6週間の洪水に備えるようにバンコク市民に声明が出されました。
タイは今日から月曜まで3連休となりますが、この間に北部中部から流れてきた大量の水をバンコクの運河に放出することで、少しでも早い海への排出を狙っているようです。運河から溢れた水による洪水が懸念されていますが、首相も都知事も「我慢してください」と都民に呼びかけています。
災害が起きてしまった後で「たられば」の話はしても意味がないのですが、それでもタイの衛星が古くて気象情報をしっかりと確認できていなかった、当初水不足を恐れてダムに水を貯め過ぎた、ダムの放水タイミングを見誤った、などなど政府に対する不満の声も上がってきています。
民主党は非常事態宣言を出すべきだと主張しつつも、首相側は軍との兼ね合いがあってできないのではとか、チャオプラヤー川に視察に行ったインラック首相が履いていた長靴が高価なバーバリーのものだったとか、なんとかしてほしいという願いがあらゆる形でネット状で渦巻いているのが感じられます。
国と国民を守る政府には「今年は人災でなく天災なんだ」ということをしっかり自覚してほしいという強い願い、そして天災に人災を加えてほしくないという願いが、タイに住む人の心にあると思います。