今日は夜どうしてもはずせない用事があり、短い時間でしたが都心に出てきました。朝からテレビに張り付いていると、どうやらバンコクが冠水するのは避けられないという感じでしたが、家の前から大きな通りに出るソイの水かさは低くなり、都心に続く幹線道路は目的地まで一度も洪水を目にすることはありませんでした。これが嵐の前の静けさなのかどうかは神のみぞ知るのでしょうが、水が迫っていることを告げる「いつもと違う街並み」をいくつか目にしました。
ひとつは路上駐車が増えていること。それも集中的に橋や高架にぎっしりと自家用車が止められており、車線が広いところは2列、驚いたことにモーターウェーにまでも一般の車が乗り捨ての如く駐車されていました。タイの橋は弧を描いていますから、より高いところに車を避難させるための処置。緊急事態の今は警察も違反切符を切らないのでしょうか。
都心の商業地区では、銀行を中心に土嚢を積んだところが目に付きました。また、一時的に入り口にブロックとコンクリートで壁を設えた店もありましたね。また地下鉄MRTの駅にも金属の壁や土嚢などで入り口を覆う準備がされていました。タイの地下鉄は、それはそれは地上からかなり深いところにホームがありますから、洪水対策には力を入れているようです。
そんな様子を目にしつつ急いで家に帰ってくると、「ドンムアンまで水が来た」というニュース。その先どんなルートで海に流れていくのかはわかりませんが、政府は明日から始まる3連休で水を流し切ってしまう作戦に出たようです。
読売新聞より
『タイの大洪水は21日、首都バンコク北部で被害地域が拡大、軍や司法関連施設が面する主要道路の一部も冠水した。
北部ドンムアン区の一部には避難勧告が出され、住民約1500人が避難した。バンコクのスクムパン知事は、西部地域でも浸水の恐れが出てきたとして、厳重な警戒を呼びかけている。
政府は、北方から首都に向かう水を運河などで東西方向に分散させ、首都への被害を抑える作業を懸命に進めているが、チャオプラヤ川上流での豪雨やダムの放水量増加などで水量が増加し、運河の一部で氾濫が起きている。首都の大規模洪水回避には、タイ湾が大潮となる今月末までが正念場となる。
バンコクでは、北部・東部計9区の住民100万人以上に避難準備勧告が出され、住民らが避難を始めている。被害は首都中心部に及んでいないが、一部の日本企業の駐在員らの間では国外などに一時避難する動きも出ている。
一方、バンコク北隣パトムタニ県のバンカディ工業団地が21日に冠水したことで、被災した工業団地は計7か所になった。同団地では東芝など日系の28社も操業しており、日系の被害企業は約460社となった。』
中部北部から流れる大量の水の最後の砦だったランシット運河が溢れ、そのすぐ南にあるドンムアンから水が南下してきているようです。幸い今日は一日雨が降りませんでしたが、どれほどの水がどれほどのエリアにまで流れるのでしょうか。
もうバンコク中心部にも水が来るのがほぼ確実となった今、政府は防災法を発令しました。
Newsclipウェブ版より
『タイ中部を襲った歴史的大洪水で、インラク首相は21日、防災・災害救助関連の権限を首相に集中する防災・災害救助法を発令し、軍、バンコク都庁などに対し、王宮、プミポン国王が入院中のシリラート病院、発電所、上水道施設、スワンナプーム空港(バンコク空港)、ドンムアン空港といった首都圏の重要拠点を洪水から守るよう指示した。
今回の洪水では、バンコクの防衛方法や洪水情報をめぐり、政府とバンコク都庁の足並みがそろわず混乱する場面があった。タクシン元首相派の現政権と対立関係にある軍が防災に本腰を入れていないという批判もある。
タイでは9月下旬から10月上旬にかけて大雨が降り、北部、中部で大規模な洪水が発生。バンコクにも洪水の危機が迫り、バンコク郊外のドンムアン空港に設けられた避難所には21日までに約1700人が避難した。
21日の時点で洪水が発生しているのはスコータイ、ピジット、ピッサヌローク、ナコンサワン、ウタイタニ、チャイナート、シンブリ、アントン、アユタヤ、ロッブリ、サラブリ、スパンブリ、ナコンパトム、パトゥムタニ、ノンタブリ、ウボンラチャタニ、コンケン、シーサケート、スリン、チャチュンサオ、ナコンナヨク、プラジンブリ、ロイエット、カムペンペット、ターク、マハーサラカム、サムットサコン、カラシンの28県、被災者は約246万人。7月29日―10月20日の水害による死者は342人で、2人が行方不明になっている。』
明日も朝からニュースなどで水の流れを追っていきたいと思います。