今朝方、在タイ日本国大使館より電話がありました。昨年4月の政治騒乱のときでさえなかったのに、「洪水の被害に遭ってないですか?高いところに荷物は置いてますか?避難できる準備は整っていますか?」と、直接確認と喚起の連絡がありました。人災よりも天災の方がよっぽど怖いということを改めて実感しました。
朝からローカルのテレビを見ていますが、バンコクも浸水が始まっています。昨日は夕方から局地的に激しい雨が降り、我が家の前の小道でくるぶしくらいの高さを推移している水の高さがまた少し上昇しました。
Sankei Bizより
『タイ各地で大きな被害をもたらしている洪水は20日、首都バンコク中心部の運河や河川にも流入し始め、一部で許容量を突破、付近にあふれ出した。
インラック首相は同日、「バンコクのすべての地域を防衛することは不可能だ」と指摘、中心部の大規模浸水だけは防ぐ方針を示した。バンコク東部や北部に冠水被害が出るのは不可避の情勢だ。
タイのメディアによると、首都バンコクの北隣パトゥムタニ県にあるバンカディー工業団地が20日夜、冠水、東芝など日系企業29社が被災した。
タイ政府はバンコク北部に土嚢(どのう)を積み上げ、首都を防衛する計画だったが、増水したチャオプラヤ川から流れてくる水があまりにも多く、首都全域を防衛することを断念。インラック首相は20日、「水の流れはコントロールできない」として、バンコク行政当局に対し市内の水門を開放するよう要請した。
政治・経済の中枢であるバンコク中心部の大規模浸水は阻止する一方、北部や東部に水の通り道をつくり、たまった水を海に早期に流すための措置とみられる。インラック首相は、水門開放はあくまで被害を最小限に抑えるための措置であると強調している。
一方、ソニーは11月11日に予定していたレンズ交換式デジタルカメラの発売を延期するなど、日本企業への影響が拡大している。
専門家は洪水被害によりタイの経済成長率を1%以上押し下げると分析。首都への直撃で2%以上低下すると予測している。』
日本人駐在員は、すでに日本への緊急一時帰国をしている家族も出ているそうです。工場が被害に遭った会社では、出勤ができずに都内のホテルなどの一室で対応策を練ったり、今後の復旧に向けての会議を重ねているそうですが、完全に水が引くには1ヶ月も2ヶ月も掛かるといわれており、経済界への打撃は相当なものと思われます。
また、中部での洪水が悪化した際に、救援物資の受付センターとなったバンコクの北部に位置するドンムアン空港の近くに水が到達したというニュースがありました。
共同通信より
『タイの洪水で、首都バンコク北部にあるプラバー運河の防水堤の一部が20日決壊、ドンムアン地区などに浸水が始まり、一部の住民が避難した。同地区の地区長が明らかにした。タイ各地に大規模な被害をもたらした洪水が首都に到達したとみられ、政府は政治・経済の中枢である中心部への波及阻止に全力を挙げている。
地区長によると、ドンムアン地区の一部道路が冠水。ポンプで懸命の排水作業をしているが、水位は同日夜までに約60センチに達し、なお上昇を続けているという。住民約40人が避難した。』
いつ押し寄せるかわからない洪水の波に備え、高速道路や高架などに車を乗車する人が増えています。私が住む住宅街の中の橋でさえぎっしり。いつどのエリアに水が到達するかがはっきりと読めないため、我が家も近所も仕事に出るタイミングを見ています。在宅勤務が可能な職種の人は自宅待機、そうでない人も早めの帰宅をしている家が多いですね。
政府はすべての水門を開けて、いち早く水を海に流すことを決定。そうなると、バンコクの運河に一斉に水が流れ、どこかしらで洪水となるのは避けられません。ここまできたら、もう受け入れるしかないのでしょうか。備えあっても憂いある、という状況になってきたようです。