今回の洪水は、タイの経済はもちろん日本企業への打撃も計り知れないものとなっています。すでに、タイからの撤退を決定した会社もあるようですし、この先水が引いても本格的な復旧には相当な時間と労力そして費用が掛かることは必須です。現在被災にあった日本企業の総数は450にも上るそうで、経済への影響が深刻化しています。
FNNより
『タイでの記録的な洪水被害は、すでに日本の本州の広さに匹敵する範囲に及んでいる。操業停止に追い込まれた日系企業は、タイ国内で450社を超え、生産への影響が深刻化している。
バンコクの北に位置するタイ最大のナワナコン工業団地では、積み上げた土のうを越えて、17日から水が流れ込み、浸水区域は広がり続けている。
政府による工場の操業停止と従業員の避難は、いまだ撤回されていない。
これまでに、日系企業の操業停止は450社を超え、一部の企業では、機械の移動や調達拠点見直しの検討を始めるなど、生産に与える打撃は甚大なものになるとみられている。
一方、首都バンコクでは、2,500人の児童生徒が通う世界最大級の日本人学校が、5日ぶりに授業を再開した。
現在、バンコクでは大きな被害は出ていないが、近隣からの浸水が及ぶおそれがあるとして、警戒が続いている。』
ナワナコン工業団地はかつてこちらでOL時代に、営業で最も出かけた先です。日系企業がとても多いここにも、とうとう洪水の波が押し寄せました。
Newsclipウェブ版より一部抜粋
『タイ当局によると、タイ中部を襲った歴史的な大洪水で、17日午前、中部パトゥムタニ県のナワナコン工業団地(パトゥムタニ)の堤防の一部が決壊し、浸水が始まった。復旧作業は難航し、18日午前には団地内の広い範囲が浸水した。
ナワナコン工業団地にはクボタ、カシオ、フジクラ、NECトーキン、日本電産コパル、パナソニック電工、ハチバン、米ハードディスクドライブ(HDD)大手ウエスタンデジタルなど227社の工場があり、約17万人が雇用されている。投資総額は414億バーツ(約1000億円)。
ナワナコン工業団地にあるミネベアの小型モーター部品工場は14日午後から操業を停止し、18日までに敷地内への浸水が確認された。帝国通信工業のタイ子会社で可変抵抗器、前面操作ブロックなどを製造するノーブルエレクトロニクス(タイランド)、三ツ知のタイ子会社で自動車用カスタムファスナーや家電部品を製造するタイミツチ、ソディックのタイ子会社で放電加工機を開発製造するソディック(タイランド)は18日、いずれも当局からの退避命令を受け、ナワナコン工業団地の工場の操業を停止したと発表した。
今回の洪水ではすでに、中部アユタヤ県のサハラタナナコン工業団地、ロジャナ工業団地(アユタヤ)、バンワー(ハイテク)工業団地、バンパイン工業団地、ファクトリーランド・ワンノイ工業団地が浸水した。被災した日系企業はホンダ、ソニー、味の素、ニコン、キヤノンなど300社以上。浸水した団地内の水位は場所によっては4、5メートルに達し、広い範囲で製造設備や製品が水没した。』
被災企業を支えるファンドが制定されたそうです。
財経新聞より
『りそなグループのりそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行の3銀行は18日、タイの集中豪雨と洪水災害により被害を受けたタイ進出企業の、災害復旧にかかる資金需要に応えるべく、復旧支援融資制度として、「タイ進出企業」復興応援ファンドを制定したと発表した。
対象は、タイに進出している日本国内企業やタイ現地法人(原則、日本の親会社の保証が必要)。融資金は、運転資金やタイ現地法人等への転貸金、増資資金、設備資金等に利用できる。融資期間は1年以内と10年以内があり、貸出通貨はタイバーツ、日本円、USドルなど。取扱期間は2012年3月末まで。』
現在、私の友人でも数人が工場への立ち入り禁止で自宅待機となっています。工場内の様子を見ることもできない、商品や機械、貴重品などを置いたまま出てきてしまいとても不安だと言っています。洪水の被害は経済、そして生活の様々なところに波及していくことは否めません。