総選挙の結果 6

選挙に勝ち、次期政権を握るタイ貢献党ですが、早くも公約実現に向けて動いているようです。最低賃金(日当)を一律300バーツに引き上げる(現在は159~221バーツ)件に関しては、本日開かれる賃金委員会で協議がスタート予定です。

1 tabelt for each student!.jpgまた、学生一人にタブレットPC1台を配布に関しても、来年1月からの実現に向けて動いており、初年度は中国から1台5千バーツ程度のものを大量に輸入するそうです。

そのほかにも、大卒初任給の引き上げ、所得税の引き下げなどなど、国民には一見「お得」な政策ばかりなのですが、これを実現するために政府は抱負な予算と資金源が必要となります。これらの政策は、海外の投資家の一部から「人気取り政策でインフレを加速する恐れがある」とも言われていますが、どうなんでしょうか。

ウォールストリートジャーナルより

タイ総選挙でタクシン元首相の妹で首相候補のインラック氏率いるタイ貢献党が圧勝したことで、国民や投資家が恐れる、目先の社会不安や軍部の介入は回避できることになった。しかし、新政権の人気取り政策は、東南アジア第2の経済力を誇る同国の活力を削ぐ可能性のあるインフレやその他の諸問題への懸念を早くも強めている。

 インラック氏はそのカリスマ性だけでなく、公約でも有権者の人気を集めてきた。公約には、最低賃金の36~89%の引き上げ、農家へのコメ価格保証、大学卒業者の最低初任給1万5000バーツ(4万円)の保証、学生へのタブレットPCの提供、全国的な高速鉄道網の導入などが含まれている。

インフレが懸念されています.jpgクレディ・スイス(シンガポール)のエコノミスト、サンティタルン・サティラタイ氏は「(賃金に関する)公約の一部だけでも実施されれば(インフレへの)影響は大きい」との見通しを示した。同氏は投票日の数日前、来年の同国の平均インフレ率の予想をそれまでの3.5%から3.7%に引き上げた。6月は4.06%だった。選挙戦ではこれまでの与党・民主党も最低賃金の引き上げを公約としていた。

 タイ銀行(中央銀行)はインフレが今年の経済成長にとって最大の脅威になると警告、これが加速すれば、予想以上に金利を引き上げることを強いられ、経済成長を鈍らせることになるだろうとしている。プラサーン総裁は選挙戦中、次期政権は財政規律を維持する必要があり、財政赤字の拡大は財政の安定を崩す恐れがあると述べた。

 スタンダード&プアーズ(S&P)は5日、新政権の諸計画は収入の「適切な割り振り」がなければ、同国の財政状態に悪影響を与える可能性があるとの懸念を示した。スタンダード・チャータード銀行は調査リポートで、インラック氏のタイ貢献党は、今後5年の同党の経済政策費用が約1兆8500億バーツとなり、均衡財政達成計画を2018年度まで2年間遅らせる可能性がある、と指摘した。同国の財政支出は世界金融危機の影響を乗り越えるために最近急増した。

 楽観論者は、90人以上の死者を出した昨年の騒乱など、ここ数年の政治的混乱から脱した平穏さがインフレ加速や債務増大といった悪影響に勝るとみている。タイ経済は、軍部が5年前にタクシン氏を追放して以来、近隣諸国に後れを取り、また、数年間の不安定な状況で主要インフラ・プロジェクトは中断、一部の外国投資家も逃げ出した。しかし、政治的に安定を取り戻し、これが続けば、これらの投資家もタイに戻ってくる可能性がある。

 また、一部のエコノミストは、過去10年の前半、タクシン氏が首相を務めていたときも過度の支出という同様の不安があったが、実際は予想されたほどの問題にはならず、同国は高い経済成長を続けていた、と指摘している。

お金の価値は?.jpgHSBCのアジア調査部門の共同トップであるフレデリック・ノイマン氏は、タイの支出が増加しても、中国の人件費が速いペースで高まっていることから、近隣諸国に対するタイの競争力が削がれることはないだろうとの見方を示した。同氏によると、タイの財政は健全で、財政赤字の拡大も許容できるという。今年度の赤字は4200億バーツと、国内総生産(GDP)の3.9%が見込まれる。

 しかし、支出が容易に持続不能な水準になったとしても、新政権は公約の履行を求める大きな圧力を受けるだろう。タイ貢献党を政権の座に押し上げるのに大きく寄与したのは、その多くが低所得者である農村部の国民だ。新政権誕生で利益を受ける層の一つがコメ農家だろう。同党は、現在価格がトン当たり1万バーツを下回っているコメについて1万5000バーツを支払うことを約束した。このためアナリストらは、コメの退蔵が行われる恐れがあるとしている。そうなれば、タイが世界最大のコメ輸出国であるだけに、世界のコメ価格が押し上げられる可能性がある。

様々な見方がありますが、ここ数年間続いた政治のごたごたで海外から遅れを取っているのは確か。少しずつ国際面での信頼を取り戻し、力を付けていってもらいたいものです。

さて最後に、タイで暮らす外国人にとってはどのような影響があるのでしょうか。

Traveler's Supportasiaより一部抜粋

外国人には厳しいの?.jpgタクシン首相時代の5年間は、旅行者、在住者関係なく外国人への風当たりが非常に強くなっていました。正規ビザに関する手数料や、オーバーステイの際の罰金が引き上げられたり。それまで原則60日だった正規ビザでの在留許可期間が発展途上国に対して30日に短縮とか、ビザなしでは連続する6ヶ月間に90日を越えて在留できないという規制ができたのも、タクシン首相がクーデターで政権を追われる直前のことでした。インラック新首相の下では、タクシン元首相の影響力が強まると予想され、外国人にとって「住みにくいタイ」が再び現実のものとなる可能性も出てきました。

個人的にはVISAを複数年で取得できるようにしてほしいのですが、こういう外国人の声ってどうやったら届くのでしょうかね。