3月に発生した東日本大震災を受けて、タイから多くの義捐金や物資が日本に送られましたが、その収支が日本大使館より発表されました。
Newsclipウェブ版より
『タイ日本大使館は6日、5月27日までに同館が受領した東日本大震災の義援金の総額が4億1602万バーツ(約11億円)になり、このうち3億8465万バーツを日本赤十字社に、1814万バーツを日本政府に送付したと発表した。
東日本大震災の義援金はタイ外務省、タイ赤十字社、タイ日本人会、バンコク日本人商工会議所などを通じても寄せられている。』
今回の地震を受けて、タイにはまだない原子力発電の建設に向けてさまざまな議論がされました。原発への不安や反対の声が高まる中、アピシット首相は建設をとりあえず3年見送ると発表。
Sankeibizより
『タイ国家エネルギー政策委員会(議長・アピシット首相)は4月末、同国初の原子力発電所の建設を2020年から3年延期して23年に決定した。タイ政府は、発電の約70%を占める天然ガスの比重を減らす電力政策を進めていたが、原発建設が遅れることで、天然ガスへの依存はかえって高まりそうだ。
バンコク・ポストによると、同国は発電能力が各100万キロワットの原子力発電所5基を20~25年に建設する計画だった。しかし、国際原子力機関(IAEA)は、法整備が不十分であることや国民の理解を得ていないことなどを理由に、建設延期を勧告していた。
また、東日本大震災で東京電力福島第1原子力発電所が放射能漏れ事故を起こし、世論が一段と厳しくなった。日本の震災後、アサンプション大学(バンコク)が18歳以上の全国3800人に対して実施した世論調査によると、回答者の83.4%が原発建設に反対だった。
タイ・エネルギー省は、原発の代替エネルギー供給源として、天然ガス火力発電所の新設を検討している。タイ国営石油会社PTTは液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)の輸入量を増やす計画だ。
ロイター通信によると、PTTはLPGの輸入量を今年の144万トンから17年に500万トンまで増やすため、330億バーツ(約898億円)を投じて、タイ中部ラヨーン県とチョンブリ県に備蓄ターミナルを建設する。LNGの輸入も年500万トンから年1000万トンに増やす。
しかし、現地紙ネーションが「原発は発電コストが安く、二酸化炭素も排出しないので、経済・環境面で有用だ」とワナラット・エネルギー相の発言を伝えたように、タイ政府は原発建設をあきらめたわけではない。』
また、総選挙を控えて主要政党が口をそろえて「原発反対」の意思を表明しています。
バンコク週報WEB版より一部抜粋
『6月5日、タイ国立開発行政研究院(NIDA)主催の環境政策フォーラムで、民主、タイ貢献の2大政党、国家威信やタイ国民開発といった中堅政党のいずれもが、当初の予定通りに原子力発電所を建設することに対して反対を表明した。
タイ貢献党のプロートプラソプ副党首(元天然資源環境事務次官)は、「安全性が実証されるまで原子力は受け入れない。わが党が政権をとったら、原発建設計画は凍結する」と明言。
民主党幹部のカラヤ元科学技術相も、「原発には反対ではないが、国民が原子力をよりよく理解できるよう検討を重ねる必要がある」との考えを示した。』
とりあえずのところ、今から12年後に建設が先延ばしにされましたが、この先タイのエネルギー供給が十分なのか、政治混乱は収まっていくのか、国民の理解がどこまで得られるかの3点が、タイにおける初の原発建設の是非に関わってくるのでしょう。