先日友人にDVDを借りて、日本のドラマ「鬼島平八郎」を見ました。ダウンタウンの浜田雅功扮する新米検事が、政界の闇を明るみにしていくというストーリー。庶民目線でお役所のえらい人をばさばさ切っていく様子が実に爽快で、あっという間に見終えました。
日本の政治家はよく自らの命を絶ちますが、このドラマを見ると手を下すのは本人でも、そう仕向ける人や力があることがわかる。もしやあのろれつが回らなかった政治家の死因だって、本当のところはわからないぞ、なんて怖い想像をしてしまったり。
政治って、権力や派閥がそんなに大事なのかなあと思ってしまいますが、1ヶ月を切ったタイの総選挙に向けて、足の引っ張り合いみたいなニュースが入ってきました。
いずれもバンコク週報ウェブ版より抜粋
『民主党から比例選に出馬していたプラチャクチャイ氏が6月5日、息子が薬物密売容疑で逮捕されたことから、立候補を取り下げる意向を明らかにした。
この息子は4日夜、都内ラチャダピセーク・ソイ10にあるコンドミニアムの駐車場で客を装った警察官に覚せい剤を売ろうとして逮捕された。
同氏は、「息子が捕まったことで、家族と民主党のイメージに傷がついた。党にこれ以上影響が及ばぬよう立候補取り下げを決めた」としている。』
現政権を握る民主党の立候補者が、息子の逮捕に伴い選挙を辞退。もちろん、逮捕した人のお父さんが偶然立候補中の民主党議員だった、というだけかもしれませんが、ちょっと曲がった目線から分析させていただくと、タイでは力があったり大物人物と呼ばれる人の身内の不祥事はもみ消されることが多々あるのですが、今回はすぐに公になった。
ドラマの見すぎだとは思いますが、誰の思惑が働いているのでしょうか。このタイミングで息子が逮捕され、すぐにニュースになって得をしているのは誰なんでしょう。
また、こんなニュースもあります。
『全国で選挙ポスターが破られるなどの被害が拡大している件について、タイ貢献党は「警察の対応が遅すぎる」と批判。早急な捜査と犯人逮捕を求めている。
選挙ポスターの破損行為は、東部を除いた全国で報告されているが、北部を地盤とするタイ貢献党は南部に、南部に強い民主党は北部に被害が集中している。
これまでに700枚以上のポスターが、捨てられたり、燃やされたり、切り刻まれるなどしたが、警察が捜査を行ったのはわずか18件、現時点で逮捕者はひとりもでていない。
タイ貢献党のプロンポン報道官は、「警察には捜査のスピード化を要求したい。一刻も早く犯人を捕まえ、処分してほしい」と訴えた。』
この場合は一般市民によるものと考えられますが、日本でもこのような行為をすると逮捕されます。公職選挙法違反(選挙の自由妨害)で逮捕されたのち、留置所→罰金となるようです。選挙後に、あの建て看板を持っていて屋根代わりにしている人はよくいますが、選挙前は破く、いたずら書きなどをすると捕まります。
また、選挙で一儲けしようとする一般市民もいるようで。
『警察庁は6月5日、選挙結果に賭けることは通常の賭博罪より重い刑が科されると警告した。
刑法の賭博罪では、最高刑は禁固3年。これに対し、公職選挙法156条では、選挙に絡む賭け事は、選挙結果に影響を及ぼす恐れがあるとして、禁固5年までか20万バーツまでの罰金、あるいはその両方と規定されている。』
今回の選挙は、反タクシンVSタクシンと言われていますが、ドラマほどではないでしょうけど、多少の攻防はまだ続くんでしょうね。