どうやら、現政権民主党は劣勢と見る報道が多い中、民主党党首であり現首相であるアピシット氏が起死回生を図る行動に出たようです。
なんと、昨年タクシン派であるUDDが長期に渡って座り込みを続けたあの「ラチャプラソン交差点」で、明後日23日の木曜日に集会を行うというのです。BTSのチットロムとサイアム駅の真ん中にあるこの場所。セントラルワールド、ゲイソン、エラワンで囲まれたバンコクの一大ショッピングエリア。
セントラルワールドのZENは、昨年の暴動による放火で今も修復作業が続いていますが、この因縁の場所で奇しくもアピシットが街頭演説を行うとは・・・
Newsclipウェブ版より抜粋
『7月3日投票のタイ下院選で劣勢が報じられている与党民主党は23日、バンコク都心のラチャプラソン交差点で党幹部による街頭演説を行う方針だ。ショッピングセンターのセントラルワールド前にステージを設け、同日午後4時半から、アピシット首相、ステープ副首相らが演説を行う。
ラチャプラソン交差点は昨年4、5月、民主党と対立するタクシン元首相支持派団体「反独裁民主戦線(UDD)」に占拠され、治安部隊による強制排除で多数の死傷者が出た。民主は因縁のこの場所で集会を開くことで、国民の間にタクシン派にまつわる災厄の記憶を呼び覚まし、選挙戦の流れを引き戻したい考え。ただ、この作戦は同時に、UDD支持者らの死亡状況に関する捜査が全く進んでいないこと、不敬罪などによる弾圧強化といった民主党政権の負の側面に光が当たる可能性もあり、諸刃の剣といえそうだ。
タイ国立ラチャパット大学スワンドゥシット校が6月4―18日に実施した大規模な世論調査(回答者10万2994人)で、政党支持率は全国でタクシン元首相派の野党プアタイ51・6%、民主34・1%、バンコクではプアタイ52・1%、民主34・2%となっている。』
一か八かの行動に出るわけですが、これに対しタクシン派のUDDは大反発。
バンコク週報WEB版より
『アピシット民主党党首(首相)が6月18日、「民主党はバンコク中心部のラートプラソン交差点で今月23日に政治対立解消を話し合う選挙集会を行う」と明らかにしたのに対し、タクシン支持団体「反独裁民主戦線(UDD)」は「逆に対立をあおることになる」と批判した。
UDDは昨年、同交差点を拠点に大規模な反政府デモを展開。治安部隊とデモ隊の衝突や爆弾攻撃・銃撃などで双方に92人の死者を出す結果となった。そして、最終的に治安部隊が強制排除に踏み切り、昨年5月19日、UDDは同交差点でデモ終結を宣言した。
アピシット党首は、「ラートプラソン交差点は政治対立を象徴する場所であり、国民和解を論ずるには絶好のロケーション」としている。だが、ティダUDD議長は、当局の「武力弾圧」を非難し、その責任を追及しているUDD関係者らの感情を逆なでし、反感が強まるだけと反発する。UDD側は大量の死傷者が出たことに対し、一切非を認めようとせず、すべての責任は当局にあるとして反タクシン派の民主党政権を糾弾する姿勢を変えていない。
一方、民主党は、選挙戦でタクシン派・タイ貢献党が優勢とされることから、大規模反政府デモでタクシン派が都民に多大な迷惑をかけ、暴徒化したデモ隊が放火・略奪を働いたことなどを非難することに選挙戦術を変更。ラートプラソン交差点での選挙集会もその一環とみられている。』
当初は支持者が多かったはずのバンコクでタイ貢献党にリードを奪われ、もはや民主党が優勢なのはタイ南部だけと伝えられる中、一発逆転を狙う行動に出たということでしょうか。
23日の木曜日は、ラチャプラソン交差点エリアには近づかない方が良いでしょう・・・