7月3日の総選挙に向けて、各候補者の選挙活動がいっそう盛んに、そして政党同士の争いも激しくなってきている感がありますが、テレビや紙面を賑わしているのは元首相タクシンの妹インラック、現首相アピシットの2人ばかり。
はっきり言って、今回の選挙戦はこの2人の「一騎打ち」なんでしょう。報道を見ていると、どうもインラックが優勢、これに対しアピシットが負けじと攻勢をしているような図になっています。いよいよ来週の日曜日に迫った選挙、どちらに軍配が上がるんでしょうか。
まずは、昨日発表された世論調査の結果です。
Newsclipウェブ版より
『タイ国立ラチャパット大学スワンドゥシット校が6月4―18日に実施した大規模な世論調査(回答者10万2994人)で、タクシン元首相派の野党プアタイの支持率が初めて50%を超えた。プアタイは南部を除く各地域で与党民主党を大きくリードしており、7月3日の下院選で単独過半数が射程内に入った。
全国での支持率はプアタイ51・6%、民主34・1%、連立パートナーのプームジャイタイ党3・4%、ソープランドチェーン元オーナーのチューウィット氏が結成した新党ラックタイランド党2・5%――など。
2大政党の地域別の支持率は、バンコクがプアタイ52・1%、民主34・2%、中部がプアタイ46・5%、民主35・8%、北部がプアタイ59・6%、民主29・9%、東北部がプアタイ70・1%、民主17%、南部がプアタイ10・8%、民主75・9%。』
タクシン氏の妹インラック率いるプアタイ(タイ貢献党)がとうとう過半数越えです。選挙戦がスタートした頃から、どうもプアタイの勢いに負けている報道が多い中、民主党党首であり現首相のアピシットは早くもこんな発言をしています。
バンコク週報WEB版より一部抜粋
『アピシット氏は「民主党の獲得議席が170(解散前の議席数)を下回り、かつ、他の政党の議席数に及ばなかった場合は党首を辞任する」と発言、しかし「仮に民主党が170議席を下回る160議席にとどまったとしても、これを上回る政党がない場合、わたしが党首を辞任する必要はない」としている。また、党首の「引責辞任発言」を受け、ステープ民主党幹事長(副首相)も15日、「170議席に届かなかったら辞任する」と明言した。』
まあ、責任を取るのが好きな日本の政治家だったら当然というか普通の発言なんですが、この言葉はむしろプアタイ側に響いたようです。というのも、時々タクシン派、いわゆる赤服タクシーに乗り合わせて、この時期ですから政治の話をされたりするんですが、アピシットはあれだけのこと(昨年の暴動)があったにも関わらず、頑として首相の席を降りない、頑固だと評す人が多い。それが、今回まだ選挙日前に自分の進退問題について言及したわけですから、今のところ優勢の赤側の人が喜ぶわけです。
道路の電信柱に立て掛けられた各候補者の看板、いろんな候補者のものがありますが、最近民主党の看板にあるアピシットの顔の部分をくりぬいたり、落書きされているものを見るようになりました。こういうのを見ちゃうと、やっぱり民主党はこのまま政権を引き継ぐのは難しいのだろうかと、思ってしまいますよね。
そんな中、タクシンがタイに帰国するのではというニュースまで流れました。
バンコク週報WEB版より
『国外逃亡中のタクシン元首相が、長女ピントンターさんの結婚式に出席するため12月に帰国する意向を示しているという。 同元首相は在職中の職権乱用で禁固2年の刑が確定しており、帰国ししだい収監される。このため、元首相は「帰国は単なる希望」と述べているとのことだ。
だが、タクシン派・タイ貢献党は、「政権をとったら恩赦で政治関連犯を免罪とする」としており、元首相の発言は、同党の総選挙勝利を想定したものと受け止められている。』
プアタイ勝利後のお膳立てが始まっているようですね。さあ、どうなるか!