タイの景気は回復か

Economic-Recovery.jpgタイに長く住んでいますが、この国は強いなと思うことがあります。数年前の政治がらみの騒乱では国際社会に咎められ、昨年の未曾有の大洪水では多大な損害が出たにも関わらず、タイの景気は悪化どころか回復のニュースが目立ちます。

日本はバブルの崩壊以降、景気上向きのニュースはあまり聞こえてきません。その後のリーマンショックや災害などの影響もあるのでしょうが、タイは政治もインフラも不安定なのにたくましいのはなぜなのでしょう。

ロイターより

タイ中央銀行が16日発表した5月2日の金融政策委員会議事録で、中銀が、昨年の大規模洪水からの景気回復局面は加速しているとの認識を示したことが明らかになった。低金利政策の必要性が薄まったことを示唆するものだ。

タイ中銀は2日の会合で、前回の会合に続いて政策金利を3.00%に据え置いた。一方、原油高や最低賃金引き上げによるインフレリスクに警鐘を鳴らした。

パイブーン総裁補は今月11日、中銀が2012年の国内総生産(GDP)伸び率見通しを5.7%から6.0%に引き上げた際、利上げを示唆する発言を行った。

議事録によると、タイ中銀は、昨年11月と今年1月の利下げにより、大規模洪水で悪化した景況感が改善したと評価した。

一方、「プライベート・セクターの景況感が持続的に上昇するなか、景気回復の状況が良好なモメンタムを伴って加速していることを考慮すると、現行の例外的な政策調整の必要性は低下し続けるはず」と指摘。「インフレ圧力により、適切な時期に政策金利を正常化する必要性が増している」と述べた。

しかし、一部の委員は、洪水被害から比較的早期に回復した生産、投資、個人消費について、今後数四半期にわたる持続的な回復が見込めない可能性があるとの懸念を表明。警戒が必要とする意見を述べた。

手放しに「回復」というわけではなく、懸念事項ももちろんあります。中でもインフレに関しては、現政府が「最低賃金、初任給引き上げ」の公約を死守し、実施したのが原因とされています。労働者の生活がレベルアップし、景気刺激を狙う策ではありましたが、賃金の上昇により懐が苦しくなった雇用者に切られてしまっては意味がありません。

バンコク週報WEB版より

労働省労働経済室によれば、今年第1四半期の失業者が約8000人に上った。 2月だけで7903人が解雇。前年同月はわずか40人だった。

昨年の洪水による被害で閉鎖していた工場も、ほぼ復旧しているにも関わらず、失業者の数がものすごい勢いで増えているのは、明らかに賃金上昇に伴うものと考えられます。インラック首相の兄、タクシン氏が政権を握っていた時代から、貧困層への好待遇、いわゆるばらまき政策が行われてきましたが、今回の最低賃金アップはその後失職しかねないというリスク付きとなってしまいました。経済の底辺を底上げするには、まだ時間が掛かりそうですね。