インラック政権誕生から1ヶ月

1ヶ月経ちましたよ.jpgタイ貢献党が政権を取り、タイ初の女性首相インラック氏が就任して1ヶ月。この間を振り返るニュースがタイ、日本両方のメディアでされていますが、それらを読んでいると「やっぱりなあ」という感が否めません。

ビジネス経験はあっても、政治経験はない。女性の社会進出率の高いタイだけど、40代前半の若き女性。そして、なんといってもお兄さんは現在海外逃亡中のタクシン氏。これらが不安材料にならなければと思っていましたが、どうしたってそこらへんの頼りなと懸念が表に出てきています。

時事通信より

タイでタクシン元首相の妹インラック氏が首相に就任してから8日で1カ月。就任前、「兄の操り人形でないことは、これからの仕事ぶりを見て判断してほしい」と繰り返していたが、これまでのところ、首相が強い指導力を発揮する場面は見られない。一方で、タクシン氏の元妻ポチャマン氏の実兄を警察長官に起用するなど、人事面でもタクシン氏の影響力がじわじわと表面化しつつある。
 
インラック首相は8月23日、初の施政方針演説に臨み、約2時間かけて新政権の政策を発表した。しかし、答弁はもっぱら副首相らに任せ、3日にわたる審議の中で、首相が野党の質問に直接答える場面はほとんど見られなかった。

明言は避けときます.jpg記者との対応は「特別の案件がない限り週2回にしたい」と要請。やりとりも「手続きに沿って進める」「詳細を見てから検討する」など漠然とした回答に終始することが多く、メディアから不満の声が上がっている。
 人事では、違法カジノを放置していたとして、ウィチエン警察長官が更迭された。後任に内定したのは、ポチャマン氏の兄プリアオパン副長官だった。タクシン氏の親戚筋で外交経験のないスラポン氏の外相登用とともに、「縁故人事」と批判が強まっている。』

言われちゃいましたね。

私が付け加えたいのは「公約必守」。公約そのものも、かつてお兄さんのタクシン氏が首相を務めていた時代の名残が十分にあるものばかりでしたが、政権獲得のためか、お兄さんの時代のタイに戻したいのか、庶民、特に貧困層への優遇政策を打ち出していました。そして見事に政権を奪取してからは、公約の実現に向けて動いてきたように思います。

最低賃金を全国一律300バーツにする、小学校1年生の生徒全員にタブレットPCを1台持たせる、ガソリン値下げなどかつての「ばらまき政策」を彷彿とさせる政策実現のために奮闘しているように感じました。ただ、国民のお財布が潤っても、国の財源が苦しくなったのでは意味がありません。国が身を削っているのではという批判が、経済学者などから上がったのも事実。しかし、この辺りの不安をマスコミの記者から質問されても、スパッとした回答が出たことはなかったようで。そうなるとやっぱり操り人形と言われても仕方ががないのかもしれません。

また、政府の人事もますますタクシン色が濃くなってきているようです。

バンコク週報WEB版より

がんばれ、妹よ.jpg政府は9月6日の閣議で、タクシン政権下(01~06年)で政府宝くじ庁(GLO)長官を務めたスラシット氏をGLO審議官に、また、タクシン元首相の子どもたちへの課税に公然と反対したベンチャ財務副事務次官を物品税局局長に任命した。

 スラシット氏は約2500人が殺害された同政権の薬物一掃キャンペーンで警察官僚として中心的な役割を果たしたほか、同政権下の新宝くじ導入に絡んで起訴されたことがある。

 09年には警察を辞めて海外でビジネスをしていたが、先の総選挙でタイ貢献党が勝利したことから帰国していた。

 一方、ベンチャ氏は、タクシン政権下、国税局で昇進を重ね、国税局局長か財務事務次官への昇格が確実視されていたが、06年9月の軍事クーデターで状況が一変。その後、タクシン政権の不正などを暴くため設置された資産調査委員会が、元首相の長男・長女の株式売却に課税すべきとの判断を示した時は、「納税の必要はない」と主張した。

大丈夫かよおい、って突っ込みを入れたくなるような人事。周りをがっちり固めて首相を守るってことなのでしょうか。